ムサン日記〜白い犬

いわゆる「韓国映画にはまっている」のではない。
日本で公開される韓国映画にすぐれたものが多いのである。

当然ダメなものもあるが、映画に関しては人それぞれ感想があるだろうから、私が「よかった」と思ったものだけを紹介するようにしている。
たまに「カス映画」と勝手にキーボードが動いていることがあるが、あれは出口ナオのお筆先のようなもので、自動書記されているのだとお考えください。

韓国映画は、私は見終わってしばらく座り込んでしまうような、全編を通して暗いベールがかかっているようなやつが好き。どんなに韓国で動員1位と言われても、うなだれてしまうものは紹介しない。
振り幅が広いのはどの国の映画でも同じだろうが、韓国映画はわりとその幅が大きいかもしれない。
撃ち合いのシーンでどんなにマシンガン乱射されても、絶対に主人公には当たらないなんてのや、どんだけ殺しても、ウジョウジョ敵が湧いてくるなんてのを見るとげっそりするわね。
これもどの国の映画でも同じか。ただ、韓国映画が注目を集め始めたころはそんなのが多かったので、神経過敏になっています。

ちょっとお茶目な恋愛ドラマも苦手ですみません。
綺麗な女優はすぐに結婚して欲しくなるくらい好きなのだが、どうもテンポがあわない。

そんなこともありまして、今回紹介するのも「うーん」と映画を見ている間中唸り続ける内容です。

脱北者を扱った映画では、「クロッシング」という名作があるので、是非レンタルで見ていただきたい。

クロッシング [DVD]

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「ムサン日記」も脱北者が主人公の映画であるが、こちらは韓国に渡り、生活ができるかどうかの瀬戸際の状況を細かに描いている。ある程度は情報として脱北者の生活については知っているつもりだったが、監督の親友で7年間も一緒に生活をともにした脱北者をモデルにしているだけに、細部にわたるリアリティに圧倒される。

この映画もパク・ジョンボム監督の初長編監督作品である。
前にも書いたが、韓国映画では監督の初長編作品が素晴らしい出来栄えであることが多い。
あえて逆説的なことを言っているように聞こえるかもしれないが、初監督作品は金がない。監督の「この映画を作る」という気迫で完成させたものが多い。
「ムサン日記」もスタッフの食事は監督の母親が作り、また、父親まで出演させて完成させている借金まみれの作品である。

世界中の映画祭で賞総なめの勢い。「息もできない」と同じパターン。

息もできない [DVD]

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絶対に最後まで席を立たないでいただきたい。立てないと思うけど。
明日公開。