「その夜の侍」と「HICK」

「その夜の侍」は17日から公開されていて、「HICK」は昨日から。
全く肌合いの違う映画であるが、映画を見たあとの舌の上にザラザラ感の残った印象は非常に似ている。

簡単にひとつの言葉でくくってしまうと誤解が生じるが、誤解していただいてもかまわないのであえて書き記すと、どちらにも「絶望」しか見えてこない。「希望」「期待」「愛情」「ぬくもり」「つながり」をいくら求めても残るものは絶望である。

日本、アメリカと物質的に恵まれた国で「絶望」でしか語れない物語が作られる。
これが全ての現実を映し出したものだとはいわないが、非常に特殊な部分だけ取り上げたとも思わない。
私たちが「幸せ」と呼ぶ居心地のよい「現実」も一皮剥けばこんなことかもしれない、と凄まじいビーンボールを投げてくる。「それは反則だよ。言わない約束じゃん」という気分にもなるが、根が暗い私は「それはあるな」と納得してしまう。アメリカ、日本だからなおさらリアリティがある。

見る人によっては「ここから希望が見えてくるんだよ」と解釈するかもしれないが、そうは思わない。
こんな紹介で映画を見に行きたくなるかどうかわからないが、役者はどちらも一流どころで固めているので見ごたえは充分。
ホラーじゃないんで、根性入れてドーンと受け止めていただきたいです。

ネパールの友人の家。1997年に行ったときは3畳くらいの部屋で、妻子3人暮らしだった。
飯と酒をたらふくご馳走になった。勝手にこちらは幸せを感じたが、彼らはどうだったのか。