英語の勉強1

ずいぶん前から英語を社内公用語とすることについての是非が議論されているが、どっちでもいいんじゃないですか。嫌なら会社辞めりゃいいんだから。

人の会社で起きていることについて、とやかく言うこともないだろうと思うので、これにて終了、では話にならないので自分の経験から少し。

英語はね、日本人には難しい言葉です。
私は8年アメリカ、イギリスで暮らしたから、いわゆる「ペラペラ」の人間だと思われている。人間としてのペラペラさは認めるが、英語はペラペラではない。話すのが極端に苦手な人から見ればもしかしたらペラペラに見えることもあるかもしれないが、自分がよくわかっている。

日本に居たくなくなり、自分でマン・ツー・マンの授業料を払って、勉強を始めたのが20代後半あたり。もともと多少は心得みたいなものはあったのだが、二人きりで授業を受け始めてみると、逆の意味でびっくり。講師派遣の会社に頼んでいたのだが、どいつもこいつも英語が話せるだけで、英語を教えることなんて考えたこともない。

茶店で待ち合わせます。挨拶する。向こうは全く日本語が話せないので英語で進行していく。
「じゃ、どうしようか」
どうしようかと言われても、お前が考えんじゃないの?
何にも考えて来てない。ただ、英語で雑談でもしてきてといわれている様子が見え見えである。
仕方ないので、英語の小説をたまたま持っていたので、「これを読むのを半分とあとはフリートークでどうでしょ」「いいね」
ここまで話すとこっちの英語力がわかってくる。
やる気のない奴はある程度話せる相手は楽である。適当におしゃべりして金もらえんだから。

小説を読む時は、こちらのボキャベラリーが追いついてないので、いちいち説明するのが面倒だ、の態度。このやり方はまずかったな、と思い、次に会う時ちゃんとしたグラマーの本を持って行ったら、今度は教師役のほうが困っている。こんなもので英語を教えたことがないんだもん。
もうわけのわかんない授業よ。

フリートークになると俄然元気になる。こちがわかろうがわかるまいが、自分がここんとこ面白いと思った話ばかり。あんたが気持ちよく話してどうすんのよ。それも若い女の子だったので、
「この間広告代理店の人に会って、モデルをやらないかといわれたのよ。映画に出るかも」
それもしかして俺が勤めてるとこかよ。こっちがわかってないとこ放り出して、勝手に浮かれてんじゃねーぞ。こっちが話せるようにうまく対話させてよ。

「じゃ、話して」
「何を話すの」
「何でも」
仕方がないのでなぜかベトナム戦争の話を始めてしまった。
フランス領だったこと、あんたの国が介入してメチャクチャになったこと、そんでまたフランス軍がやってきて・・・。
全然向こうは興味ないから「ふんふん」と聞いたふりだけしている。
困っちゃったねえ。

で、5回くらいやったら「忙しくなった」で他の人間が登場。で、また、で、また。

一度は、アメリカ大使館勤めの旦那にくっついてきた奥様が相手で、あの敷地内の超豪華マンションでレッスン。このときには慣れてきていて普通の会話であれば不自由は感じなくなっていた。ところが、奥様は全く話せない幼稚園児みたいなのが来ると思っていたようで、これも一回きりで向こうから断られた。お金は取られたけど。次回からは旦那本人が出てきちゃって、どうもおかしなことになっちゃったなあ、と両方が思っている奇妙な事態に。

個人教師派遣はダメだと気がついたときにはずいぶん金使ってたよ。

次は会社が金を出してくれたベルリッツ。

この英語の勉強の話、すごく長くなるので小説にします、ってことはないんだけど、3回くらいに分けさせてください。
次回を待て。

ここもロンドンのリージェンツパークなんだけど、俺は英語が話せるようにならないんじゃないか、と落ちこんでいた頃、ということします。