テイク・ディス・ワルツ

淋しい。この映画は淋しい。
ワルツをいくら踊っても淋しい。ワルツってどう踊るんですか。
一生に一度でいいから華麗に踊ってみたいものだ。母親がダンスを習い始めたらしい。うらやましい。

踊るのは同性でもかまわないのだろうが、異性とが個人的には好ましい。
きっとすごく楽しいと思う。
問題はいつまで楽しくワルツを踊っていられるかどうかだ。どんなに楽しいこともいつの間にか「日常」になってしまい、ジルバが踊りたいとか、相手を替えてみたいと思うんじゃないですか?踊ったことないからわからないけど。

人間は面倒だ。
「人間とは遊ぶ動物である」とかいろんな言い方で頭良さそうに語られるが、私は「人間とは飽きる動物である」と言うな。せっかく楽しいことや幸せだな、と思えることを見つけても同じことを繰り返していると必ず飽きてしまう。

人間に普遍させなくても私自身のことを考えればそうだ。
毎日、会社に行ってやりがいのある仕事を得て、バリバリ仕事をしていたこともあるんだけど、飽きるんだよな。むなしくなるんじゃなくて、飽きるの。「こんなことやってなんになる」ということじゃないくて、先のことを考えるとトンネルが延々と続いていて、もう外の光が見えなくなるような気がするんだよ。で、辞めちゃうんだな。それで後悔するわけじゃないけど、たまに「あー、あんなこともあったな」って微笑んだり、懐かしくなったりはする。

この映画の主演は「マリリン 7日間の恋」で、モンローを演じたミシェル・ウィリアムズ
「マリリン・・・」はどうも足が重くて見なかったが、予告編で見たモンローは見事にモンローだったので、最初はどれがモンローやった女優なの、と面食らった。
トロントの生活に満足していると自分に言い聞かせている売れているとは言いがたいライター。日常が体中に張り付いている。何の面白みもない夫。将来には何も期待していないから、何とか退屈をごまかしながら生きている。
「俺の女房のことかよ」とひるまれる方もいらっしゃるだろう。そうかもしれんね。気をつけたほうがいいよ。

すごい美人ではないけど、ある瞬間に笑顔に花が咲く。
抱きしめたくなる。そんな奥さんですよ。

「なんだかこのダンスの相手はもうひとつ楽しくないわ」と思った時に、横から全くタイプの違う男に「踊っていただけませんか」と声をかけられたら、ためらいながらも「じゃ、少しだけ」ということになるんじゃないかね。

でもさ。

という映画で、お勧めです。
今日公開。