ザ・マスター

この週末は映画依存症の人は忙しいです。
日本時間月曜午前中にはアカデミー賞が発表になってしまうんで、何とか公開されている映画だけでも見ておこうと思うからです。

「特に映画は・・」というタイプの方は力を抜いてゆっくりお過ごしください。

この「ザ・マスター」は今回のアカデミー賞関連話題の中で何かと騒がしい作品でございます。
この作品は作品賞にノミネートされていないからである。
俳優賞には3人がノミネートされているが、監督賞にも入っていない。
メディア、批評家からこの処遇に対して「ふざけんな」「うんこ野郎ども」的な発言が相次いでいる。
私も審査した連中は「クソして寝てろ」と申し上げたい。

ここで、また憶測を呼んでいるのが、監督自ら「サイエントロジーの映画を撮ろうとは思わなかったが、インスピレーションを受けたし、教義本を参考にしている」と語ったもんだから、サイエントロジーからの圧力があったのではないか、なくても作品賞、監督賞にノミネートするだけの金玉が審査する人間になかったのではないか、と騒ぎになっているのである。

サイエントロジーは自らが「宗教だ」と主張しているので宗教なわけだが、これがなかなか理解しにくい面を持っている。ま、それはキリスト教徒がイスラム教が理解できない、逆もそうなのと同様に他宗教を毛嫌いするところがあると思っていいんです。そうなんだけど、やっぱし「あらら、ちょっと変わったこと言うのね」というお話が出てきたりするんで、皆さん少し戸惑うようですね。
本人たちが明言しているので申し上げとくと、トム・クルーズジョン・トラボルタなんかはこのサイエントロジーの信者です。

この映画ではまだ初期のサイエントロジーを参考にしているので、宗教色は強くないが、小さな団体であったこと、大きくしようと動いていたことからいわゆるカルトのイメージを持つ方もいるかもしれない。

で、この映画はどのようなイメージを持つ人がいてもかまわないが、今年の映画の中ではもっともヘビー級である。
ホアキン・フェニックスが本人とは思えないくらい体重を落として、役の中にはまり込んでいる。壮絶である。
フィリップ・シーモア・ホフマンはすでにマーロン・ブランドの域に達したのではないか。
エイミー・アダムスは相変わらず可愛い。

映画の隅から隅までが異様な迫力で観客を圧倒する。
息が詰まる。
全身に痺れが来ます。

サイエントロジーの話は全部忘れて、是非この映画に没頭していただきたい。

明日公開。