大腸内視鏡検査 その1

恐ろしいことだった。昨日のことだ。
この話が私は尾籠だとは思わないが、「お尻」とか聞いただけで「もう、いや」と感じる方はここまでにして、お読みにならない方がよろしいんじゃありませんこと。本日、明日とこの話は2回に分けて書かせていただきます。いろいろあってどうしても長くなるんです。小説にした方がいいかしら。

私は40歳で会社を辞めて以来、人間ドックというものに入ったことがない。入った方がいいね、という認識はあったのだが、お金かかるしね。それに、幸いにも、いや逆か、中途半端に病院に行くことが多かったので、基本的な検査は受けているし、これといってちゃんと検査をする理由がなかったのである。
しかし、最近ちょっとあれだったのと、あれだったのでちょうどいいから人間ドックじゃなくて、万が一を考え、ちゃんと調べてもらうことにした。

胃カメラ大腸内視鏡
胃カメラなんて総胆管結石の内視鏡手術のとき手術用のでかいのをグリグリ入れられてとんでもない目にあったとき以来でしょ。胃カメラじゃないし。15年も前の話だし。
40過ぎたら、50越したら毎年胃カメラ、とか言うじゃない。
やってなくていいのかしらとは思っていたのだが、誰も何も言ってこないから、やんなくていいもんだと思っていた。
言ってくるわけがないんだよね。こちらは誰からも雇われていないフリーランスとは名ばかりのフリーターなんだから。
これじゃどんな病気になっていても仕方ない。

それで、気になっていたあれとあれを調べてもらうことにしたのであります。別に人間ドックに払う金惜しさじゃなくて、これは念のためとはいえ長年「あれ?」と思っていたんだけど、口やお尻から蛇みたいなもん突っ込まれるのが嫌だったからそのままにしていたことだったんで、主治医と話をして保険ですむことになりました。正直申し上げて助かりましたけどね。

実は大腸内視鏡検査は初めてではない。
10年くらい前に体験していた。

朝トイレにいった際、サーっと何かが流れたような気がしたんで、のぞいてみると便器が鮮血で真っ赤になっていた。
あら、この年でお赤飯炊くことになるとは思わなかったわ、とは思うはずなく、下血か?と青くなった。
あわてて、近くの病院に行ったら「一応内視鏡検査しておきましょう」と決めてしまったので、どんなことになるのかわからないまま「はい」とうなづいてしまった。
そしたら、あーた、前の日から食い物は極端に制限されるし、当日は朝から大変な騒ぎ。(この辺りの詳しいことは明日にまわします)

病院に行くと何これ手術室じゃん、というところに通され、キャー、あたしを騙したわね、というおかしな下着とつけさせられる。
「やめてください。警察に訴えますよ」とかウニャウニャ文句つけている間もなく、てきぱきと「ベッドに横になって」「左側下ね」と指示に従うのみ。「力抜いてね」「リラックスして」、できないことを言わんで欲しいよ。
で?と思った瞬間、お尻の穴に何かねっとりしたものを塗られた、とそのときいきなりおかしなものが侵入して来て、「お〜〜〜」と声を上げてしまった。こういうことだったのかよ。ちゃんと話しといてくれよ。心の準備があるだろう。話してくれてたかな。

力の抜き方なんかわからないでしょ。全身硬直したまま検査は進んでいる。
腹の中からエイリアンが生れ出ようとしている。何者かが私のおなかの中で暴れている。どうなってんだよ、と怒鳴ろうとしたら「はい〜、奥まで届きましたから、あとは抜きながらよく見ていきますからね」ときた。奥ってどこよ。
あまりのことに気が動転していて、気がつかなかったのだが、目の前にカラーのモニターがある。
あ〜ら、これが私の大腸の中?
きれいなピンク色してるじゃん。宿便はどこよ。所々にちょいと異物が見受けられるが、何やらそこを目がけて水が放出されているようで、一瞬のうちにき再びきれいなピンク色が現れる。この検査は宿便取りまでやってくださるのね。そいつがどこに消えて行っているのかわからないが、もう私の知るところではないだろう、勝手に処分してくれてかまわないよ、と余裕をかましていたら検査は終わってしまった。
「きれいなもんでしたよ、何もありませんね。出血は痔からですね」
だろ、俺は最初から痔じゃねーかと思ってたんだよ。こんな検査必要だったのかよ。
と片方で思いつつ、これがダイアナ妃がお好きだったという内蔵をきれいにする美容法だということに気がついた。
「これか、ダイアナが好きだったのは、おかしな人だな、でも確かに宿便がきれいさっぱりなくなったのはある意味快感だな」と納得してしまった。

しかし、翌日おかしなことが起きた。お尻の穴がすごく痛い。
検査のときに傷つけられたのかしら、と邪推したのだが、痛みをじっとこらえているうちに、これは筋肉痛であることがわかった。括約筋が筋肉痛なのだ。おかしなものを入れられている間、ずーっと拒否し続けていたのである。出て行け、と締め付けていたのである。あんなもん長い間入れてりゃ、普段使わない筋肉だから疲れちゃうんだよ。
人間の体って面白いね。

痔はほどなくして全快しました。

ここまでが明日への前ふりです。
長いね。

私の大腸の中はこんな感じでした。