アンナカレーニナとバーのお仕事

トルストイのアンナカレーニナをどうしようも読みたいという方はそんなに多くないだろう。
バーでのお仕事については、私が店番をやっているから知りたいのか、一般的常識として知りたいのかどうなのか、自分がやりたくて知りたいのかわからないが、この3日間のブログの反応は、心を込めて書いたものよりも反応がいい。時間がないんで、えいって短時間で書いただけなのにな。おかしなことになっちゃったよ。

そんなわけで、タイトルはあたかもバーでのお仕事とトルストイが関係しているような紛らわしいものにしましたが、実は全然関係ない。

アンナカレーニナは映画、バーのお仕事はバーのお仕事です。
両論併記というやつかな。
全然違いますから、よそで「大倉が使っていたから」と使用しないように。

トルストイ武者小路実篤のような方で、人間を信じて原始共産制のようなコミューンを作ろうとしていたんだけど、悪妻が「ざけんなよ、金よこせ」と大騒ぎして失意のうちに亡くなってしまったことになっています。そんな奥さんに捧げた作品かと思うかもしれませんが、これまた全く違います。
「アンナカレーニナ」がロシア文学の最高峰と書かれると、それはどうかな、と個人的趣味で申し上げたくなるけれど、ドストエフスキーが「芸術作品として完璧」と讃え、トーマス・マンは「一点の非の打ちどころもない」と激賞しているそうだから、そうなのかな、と一瞬心が揺れますね。

しかし、原作が素晴らしいといって映画も同様とは限らない。
なんせこの物語長いんで、どこをどうまとめるかはもはや脚本家、監督が小説を書き直すくらいのつもりで構成しないとどうにもならんだろう、だらだら長くなってないといいけど、と偉そうに試写を観に行ったんだけど、おじさんは驚いちゃったよ。
130分の中に「アンナカレーニナ」が収まってしまっている上にスーパー豪華絢爛。まるでバス・ラーマンが監督したような作りになっている。

好き嫌いは分かれるかもしれないが、演出方法が意表をついている。
それが、ピターっと合っている。
ロシアのどんよりした光景が延々と続くのかと思うと「どうする?行く?」ということになってしまうだろうから、こんな想像もしていなかった作りにしたんだろうか。愛と悲劇のヒロイン、アンナカレーニナは観るものに息もつかせないほど全力で新しくもきらびやかなページをめくり、駆け抜けて行く。
いろんな意味で感動しちゃったんで宣伝担当の会社の若い女性とキャーキャー騒ぎながら、「よかったね、よかったね」と抱き合ってしまった。私は特にキーラ・ナイトレイのファンではないのに、大倉、激賞でございます。
騙されたと思って観に行ってごらんなさいよ。私に抱きついて「よかったわ」って涙流したくなるから。

明日公開ですよ。多分評判が良くて混むと思うから、火がつく前、早めにいった方がよろしいかと。

さて、本日最終日を迎える「大倉、バーの店番をやる」でございます。
昨日は妹が口開けの客となり、金も払わず帰って行ってしまったので、私のつけとなる、いいのか悪いのかわからない始まりとなったのだが、ブログを読んで来ていただいた方が数人いらしてくれて、感動しちゃった。
でも、その後、入店される方が一様に私の顔を見て、ギョッとされながらも、圭さんの顔を見て安心してお席に着かれる事態が立て続けに起こり、店内満席状態となり、大倉、大パニック。「お客様には笑顔で接すること」という圭さんの命令を完全に忘れてしまい、ひたすらグラス洗ったり、私に唯一許されているウイスキーの水割り、ソーダ割りを作り続けておりました。
ハゲが顔引きつらせてるんだから、お客様はドン引きだったんじゃないかしら。

金曜からはイケメンが帰ってくるから普段いらっしゃっている皆さんはご安心ください。
大倉の店番姿を一応チェックしとくか、という方は本日限りでございます。
将来もこのような事態が起こる可能性はゼロではございませんが、見納めだと思って出かけられるのもよろしいんじゃありませんこと。知っている人がいると安心するんだよな。昨日は6年前まで一緒に働いてくれていた木村君に電話で恫喝をかけてみたら、ちゃんと来てくれてすごく助かりました。
どうでもいいや、という方は事実どうでもいいことなんで、忘れてください。

じゃ、今晩待ってるぜ。

仕事は楽しくね。
上海雑技団。