酔っぱらってやっちまうこと

本日の「ごちそうさん」。
め以子の心の中にはどす黒い嫉妬心が居座っているのか、冷たい秋の風が吹いているのか。

本題です。
元サッカー選手が朝9時過ぎにタクシーの運転手さんに殴る蹴るの暴行を加えて逮捕され、「ごめんなさい」と謝っていました。昨日からずっとテレビでやってますね。
朝9時にベロベロで何にも覚えてないってのは私でもできないんで、どんだけ飲んだのかにも興味があったんだけど、理解できないことがひとつ。

ここからは私の個人的な感想で、事件の詳細も明らかでないし、すでに示談になっているので騒ぐことじゃないんだろうから、読みたくない人はここでお引き取りください。

あのー、私はいくら酔っぱらっても殴る蹴るという行為に及ぶことがあり得ないと言い切れるんで、おっかしーなー、と思うんですよ。人を殴る蹴るということは普通の人間なら大変な抵抗のあることで、いくら酔っても手足はまず出ません。記憶がないくらい酔っていたのであればなおさらできることじゃない。
ある程度の経験が必要です。
私の場合は殴り方も蹴り方も知りません。
ですから、酔っていても腹が立っても条件反射的には体が動きません。
テレビでは「ちゃんと謝ってるよね」とみんな優しいですね。
まあ、そんなことで。

と申し上げつつも、私は私で若い頃酔っぱらうとやっちまうことがありました。
妙な正義感が出てきちゃうのよ。
電車の中で「バカヤロー。チクチョー」とか大声で怒鳴るオッサンってよくいたですよ。
最近いなくなったな。
どうしました?
そういう方がいるとつい友人の制止を振り切り前に出て「オッサン。うるさい。みんな迷惑してるからやめなさい」ってやってたんだよな。飲んでなきゃできないよ。
でも、それで絡まれ、喧嘩になったことはなかったんでどちらかと言えばいいことしたのかしら。

一番鮮明に覚えているのは、まだ大学生で荻窪に住んでいたころ、駅から自宅までタクシーに乗ろうと並んでいたら明らかにその筋の関係の方が列を無視して割り込んできた時のこと。
なんか私が言わなきゃ誰が言う、と勘違いしちゃったんだな。
いや、みんな黙ってたんだから、誰も言わないか。

「あなた、みんな並んでるんだから、ちゃんと列の後ろに行ってください」
「はあ?お前、誰」
「タクシー待ってる者ですよ」
「名前聞いてんだよ」
「あなたの名前は?」
だんだん警官に職質されてるようなことになってきた。
「俺の名前はいいんだよ。お前の名前は」
「大倉ですよ。並んでください」
まずいよ。名前言っちゃったよ。山田ってことにしとけばよかった。
「大倉か。お前の名前、覚えてるからな」
とやっぱり割り込んだまま。

体に触れると怖いことになりそうだったんで、ここは人民の力をお借りしようと20人くらい並んでいる方々に訴えてみた。
「皆さん、こんな割り込み許していいんですか。並んでもらいましょうよ」
シーン。
「いいんですか」
シーン。
誰かが「いーんです!」とでも言えば場が和んだかもしれないけど、その頃はJKいないもんな。
キャー、私、孤立無援になっちゃったじゃない。
まずいことになったぜ。
逃げようかな。
一人で逃げると捕まってボコボコにされるかもしれないじゃん。
逃げなかったぜ。
対面し続けていたぜ。

ふふ、実は私は近くに交番があることを知っていたんだよ。
だから、相手が手は出せないと読んでいたんだよ。

「大倉、お前のこと覚えとくからな」
と捨て台詞残して、歩いて行っちゃった。
「本当は山田だよーん」
と声かけときゃよかったんだけど、そういう機転はきかないんだな。

その時のことをあるとき親戚の集まる会で話したところ、伯父さんにすんごく怒られた。
そんなことして怪我したらどうすんだ。黙ってろ、ということでした。
あらん、そういうことなの、と若干混乱いたしましたが、それ以来そのようなことに出くわしたことがないんで、結果的に伯父さんの言ったことを守ってるということだ。

20年くらい前、ミラノの空港で順番もくそもなく、手荷物検査場に人が殺到しているのを見て絶望的な気分になったことがあるけど、ここはやむを得んな、と私もその集団に突入して行きました。

先日泥酔して帰宅した際、どこぞで太腿をひどく打ったようで痣になっているんだけど、家族には黙っている私です。

「お酒とはいいおつきあいをしてください」とは殴られたタクシーの運転手さんの所属するタクシー会社のコメント。
ロンドンのパブ。