しつこいが「知る権利」

本日の「ごちそうさん」。
め以子を息子の嫁に、と思ったんだけど、息子がいなかった。

本題です。
特定秘密保護法案を担当する森雅子大臣が「西山事件の類似は処罰する」との見解を示しました。
西山事件を簡単に説明すると、1972年、毎日新聞記者、西山太吉が外務省の女性職員に漏洩を働きかけ密約を示唆する極秘文書を入手したとし、国家公務員法違反容疑で逮捕され有罪となった事件をさします。
山崎豊子が「運命の人」という小説を書き、テレビドラマにもなったので記憶にある若い方もいるでしょうけれど、どこか遠い昔のことと感じているのではないでしょうか。

これは「密約はやはり存在した」と社会を騒然とさせたスクープとなりましたが、情報源である外務省職員を秘匿できなかったことから、男女の許せないスキャンダルに問題がすり替えられてしまい、世論も密約の存在をすっかり忘れてしまうという能天気にも「知る権利」についてはどうでもよくなる、という大変な残念な収束を迎えました。

情報源を守るということが結果的にできなかったのですから、西山記者はその点に置いては糾弾されるべきですが、そもそもの問題であった密約についてはどうでしょう。

密約の内容は「1971年、日米間で結ばれた沖縄返還協定に際し、アメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払う」というものでした。
日本政府の発表は全くのでたらめだったのですから、当然「知る権利」に相当します。

その後、忘られた事実となって心ある記者はいつまでも良心に傷をつけたままとなっていたはずです。
私より年上の新聞記者とは酒を飲むたびにこの話で議論となっていました。

2000年になって、密約を裏付ける米国の公文書が発見されたため、西山氏は起訴されたことを不服とし国家賠償法に基づく賠償請求訴訟を2005年に提起。2006年、対米交渉を担当した吉野文六外務省アメリカ局長(当時)は密約の存在を北海道新聞共同通信朝日新聞の取材に対して認めました。2007年3月27日、東京地裁は、20年の除斥期間を経過しているとして、密約の存否に触れず、請求を棄却する判決を下しました。

国のやることはこんなもんです。

しかし、その後状況は変わります。
2010年3月9日、密約検証の有識者委員会が「密約は存在し、全て事実」の報告書を提出。12日、岡田克也外務大臣が記者会見で「大変有能だったにもかかわらず、この世界から追われる形になり、個人的にはお気の毒だと思うし、惜しいと思う。外務省がどうかかわっていくべきなのかについて、少し頭の整理がいると思う」と西山氏を評価することとなります。

また、その後、2010年12月7日 。外務省、沖縄返還や60年安保関連の外交文書を22日に公開することを決定。公開された文書により、「アメリカ政府が負担すべき米軍基地の施設改良費6500万ドルの肩代わり密約」が存在していたことが判明しています。
隠せるものはどんどん隠します。
「知る権利」なんて知ったこっちゃない。

西山記者の取材方法については確かに批判されるべき点はありますが、この報道なしには密約は表に出ることはありませんでした。

さて、森大臣は「西山事件の類似は処罰」と言い切りましたが、相変わらず密約を暴いたことについては何一つコメントしていません。
このような機密事項についての情報を得ることは、よほどのニュースソースを獲得することが必要になります。
それは国家公務員法違反に問われる可能性が大です。
「正当な業務」で政府がひた隠しにする「秘密」を得るにはどうすればいいんでしょう。
それも是非教えていただきたいところです。

平易に申し上げれば「ふざけんな、ばかやろう」ということです。

この野菜の積み方は秘密。
コチ、インド。