水族館の時代でしょ

昔、広告会社に勤めていた頃、企画部門にいた同期が「大倉、これからは水族館がくるぞ。間違いない」と自信満々で話すのを聞いて、「こいつどうかしちゃったか?」と思ったことがある。
私が「お前大丈夫か」的な顔をしていたんだろう。
「もうひとつすごいのがある。アイドルのCTスキャン画像だ」
「それをどうすんの」
「すごいじゃん。松田聖子とかの体の内部が見放題だぜ」
やっぱりこいつはおかしい、と水族館の話まで無視してしまった。
大ヒット間違いない曲とカスな曲は一緒にプロモートしてはいけないということです。

間もなく水族館ブームが到来し、日本中にこれまで想像したこともなかった大きな水槽をもったダイナミックな水族館ができました。
それまでは魚の種類ごとに小さな水槽に入れていたので、どんな具合に魚が本当に海の中で動いているのかわからなかったもんね。葛西臨海公園にある水族館に初めて行った時は声を上げちゃったもん。
鉄仮面みたいな顔をしたマグロやカツオがずんずん泳いでんだから。
それ以来、水族館にはよく行きました。

下関には大昔からかなり大きめの水族館があったんだけど、やはりコンセプトが古いものだったんでもうひとつ盛り上がりに欠けてました。しかし、場所を変えて名前も「海響館」としてから大ブレイク。
私はふるさと自慢で言っているんじゃありません。
ここはどんなレビューでも非常に高い得点を上げている自慢の一品です。
魚も水槽も涙が出るくらい立派なんだけど、やはりイルカ、クジラのショーは圧巻だよ。

そんなことを思い出しながら昨日はずっと風邪が治らなくてちょっと外に出てもじっとしているという極めて地味な生活を送っていたので、思い切って品川のエプソンアクアスタジアムに出かけてみました。
おなじみの透明トンネルの中に入ってやっぱりキャーキャー叫んじゃった。
ここの売りは見たことのないとんでもない大きさの変なのがいることだ。
これだよ。

何なんだよこいつは。
人面魚か?
しかもゆうに4メートルはあるじゃん。
こいつの全身写真もあったんだけど、トリミングしてたら本物の写真が消えちゃった。
ノコギリエイだ。
他から借りてきましょう。

こいつです。

この方が大きな水槽の中を「ちいせーなー」とのったりのったり泳いでるんだよ。
たまんなくない?
しばらく上を見上げていたら首が痛くなりました。

マンタもいるんだよ。
小さなエイなんか相手にしてらんない。
マンタ、本物に会いたいな。
本物に海の中で会ったら引きつけ起こして底に落ちると思うよ。
ま、潜水なんかできないからそんなこと心配しなくていいんだけど。

イルカとクジラのショーは必見だな。
最近のショーはただ輪っかをくぐるだけじゃないんだね。
まあまあ、そんなこともできちゃうの。
オジサンはすっかり子供に返って思いっきり拍手をしてました。
恋人同士で行くとそのままの勢いで「結婚しよう」ということになること間違いない。
いちゃいちゃしてたカップルと中国人の親子連れと東欧からのお客様がとても多かったのことよ。
イルカに乗ったオジサンくらいには成れるかもしれない。
まず風邪を治さなきゃ。

アシカのショーは期待してなかったんだけど、うまいもんだねえ。
「こんにちはー!」って大声出して挨拶したら、いとおもしろきわざの連発でまた子供に返っちゃた。
今日は30くらいにはなってるんじゃないかな。

最後はこの水槽の前で「君を一生幸せにします」とか勢いで言った男が3人はいたはず。

あー、楽しかった、と外に出たところで、ふとイルカ、クジラ、アシカはあれで幸せなんだっけか、と思ったりしました。
「わんぱくフリッパー」に出演していたリック・オリバー氏は現在イルカ解放運動家になっちゃってます。
私はイルカやクジラをおいしくいただく人間なので、イルカ、クジラショーに拍手しているところから矛盾してる、と言われそうなんだけど、人間はあらゆる意味で矛盾しております。
カワハギを可愛いと思いつつ、刺身を肝醤油でおいしくいただいたりする私もいます。