安く買って、高く売る

資本主義が崩れ去ろうとしている、と簡単に私が言ってしまうと、よくもそんなデタラメを、と怒られるのだけど、普段からこんなことが続くわけがないと思っていたことを万歳三唱したくなるくらい見事にまとめてくださった水野和夫氏の「資本主義の終焉と歴史の危機」を読むとうなずいてくれる方が1万倍くらい増えそうな気がする。

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

集英社新書から740円+税で出ているのでかなりお手軽です。

いわゆるマクロ経済の立場からこれまで起きてきたこと、現状、これから起こるであろうことを経済の素人でもわかるように非常に平易に書いてくださっている。
グローバリゼーションという心地よい響の言葉は本来何を意味するのか。
「安く買って、高く売る」という経営の基本原理はこれからも継続可能なのか。
シュペングラーの書いた「西洋の没落」は80年以上前に書かれ、名著として知られており、その予想は的を射ていて今でも読み継がれているが、これを換骨奪胎して、極めて説得力のある資本主義の死を解説したものがこの本だと言って差し支えない。
ちなみにこの本の第4章のタイトルは「西欧の終焉」である。

すでに多くの方が絶賛されているが、私も先日読んで、大きなため息をついたので、あえて必読の書、と勧めさせていただく。
資本主義のページをめくった後、どのような世界が展開されるのか、それは私達というよりも、無責任のようだが、もっと若い人の手に委ねられているのかもしれない。

資本主義が終焉しても、同じ夕景が見れると嬉しい。
ハワイ。