黒い髪

朝、起きると黒い髪で頭がフサフサになっていた。
もしかしたらザムザみたいな毒虫のような毛虫になったのかと不安になり、鏡をのぞいてみたら、ちゃんと顔はあって、毛がないはずのところに黒髪が。

そんなことがあったら奇跡だ。
誰かが寝てる間にカツラかぶせた?

先日ある会合で、私が「シャンプーを使う」と事実を語ると、爆笑の渦となり、なぜ私は笑われているのかわからないというまさにカフカ的不条理の世界に叩き込まれてしまい、いまだに違和感が拭えない。
私がシャンプーを使うとそんなに面白いかね。
寄席に上がって「今朝、シャンプーしましてん」で爆笑だったら、商売変えてもいいんだけど。
話が違った。

ある日帰省したら、母親の髪の毛が完全な銀髪になっていた。
白蓮みたいな。
「あんた、この歳で銀髪に染めたんかね」
「違う。髪の毛染めるのやめただけ」
驚いたよ。
結構パンク婆さんみたいでカッコいいんだけど、知らない人と話をしているみたいだったもん。

これまでも何度か書きましたが、母親は東京で生活するようになってから、すっかり不良になりまして、麻雀、ビリヤード、ソーシャルダンス、合ハイ(合同ハイキング)、友人の軽井沢別荘で外泊、YOU NAME IT、「忙しくて、早めに言ってくれんと時間とれんよ」と息子に会うのを避けるようになりました。
そんな親に育てたつもりはないんだけど。

それでもたまに会いに行くとどうも様子がおかしい。
何かが違う。
しかし、何かがわからない。
「あのね、私、髪の毛が黒くなってきたんよ」
は〜?
「ほら」
とフサフサの髪の毛をかき分けると、中が黒くなっている。
ゲッ、ザムザか、この人は。
「なんでそうなったんかね」
「わからん」
「遊びまくっとるからやないんかね」
「そうかもしれん」
不良になると黒い髪が生えてくるのか。

私は好き勝手に生きているように見えることがあるらしいけど、不良じゃないからな。
ああああ、不良になりたい。
朝起きてびっくりしたい。

この写真より黒髪化は進行している。
これからどうなるんだろうか。
ベンジャミン・バトン現象?