ため息

どうもアイルランドから帰ってきて、体調が安定しないんだけど、今回もなんとか乗り切った様子で本日も頑張らせていただきます。

アメリカがアラブ五カ国(サウジアラビアバーレーン、ヨルダン、カタールアラブ首長国連邦)の「有志連合」とともに「イスラム国」を空爆いたしました。
「やるぞ、やるぞ」と言い続けていたんで驚きはないけれど、「やっぱり」とため息をついていたら、アメリカの報道機関から一斉に「イスラム国」以外にもコラサンの拠点も攻撃した、と流れてきたんで驚いた。
ちなみに日本の報道では現在7時前の時点ではそのコラサンという名称の過激派は登場してきておりません。

アメリカでの報道を非常に簡単にまとめるなら、コラサンはアルカイダの元メンバーらが作った新しいグループでアメリカへの直接攻撃については「イスラム国」よりも大きな脅威となっており、具体的な攻撃能力も持っている、ということらしい。
これまで一度も名前を聞いたことがないんで、どこも扱いが大きい。

私がため息をついたのは、もはやイラク戦争で地獄の蓋を開けてしまったアメリカはこの泥沼から抜け出すことはできないだろうと考えるからです。
イスラム過激派は主導権争いで分裂するけれども、その活動が収まる気配は皆無。
コラサンが突然登場してきたのはアメリカが得意のディスインフォーメーションなのか、今度こそ本当に情報機関が間違いない証拠を掴んだのかは、判断のしようがないけれど、いずれにせよ台頭してきた勢力を叩けば必ずまた新たな「敵」が現れる。
その「敵」には欧米から支援者が続々と加わっている。

9.11後、あの攻撃が本当にアルカイダによるものだったのかは私の中ではいまだに疑問ではあるけれど、アフガニスタン紛争、イラク戦争を闇雲に始めたことで、アルカイダによるものであったとしても、なぜあの事件が起こったのかが本質が見えなくなってしまいました。

イラク情勢の先行きが全く見えないまま、シリア内戦が始まり、ISISが出現し、今度はコラサン。
もはやこの地域の安定の道筋が見えている人間はいないのではないか。
もちろん私にも解決方法なんてなにも思いつきません。
ただ、空爆を繰り返せば平和が訪れる、なんてことはないことだけははっきりわかります。
たとえ市民を巻き添えにして過激派の拠点をすべて焼け野原にしたところで、どこか別の場所で同じことが起こります。
おそらく「敵」はさらなる力をつけて現れるはずです。
欧米からの兵士志願者も絶えることはないでしょう。
オサマ・ビン・ラディンの予言めいた言葉は現実となっている。

日本が「積極的平和主義」を掲げて仲介に入れば、と夢想をしたこともあるけれど、今回もアメリカ支持を予想通り打ち出しているだから、もう無理でしょう。

そもそも、この喜劇的悲劇の根はどこにあるのか。
9.11はなぜ起こったのか。
サウジアラビアが「有志連合」に参加しているけれど、あの国に矛盾はないのか。
テロリストとは交渉しない、のは勝手だがなぜ「イスラム国」なるものができ上がってしまったのかの検証はしないのか。
欧米に住む若者がどうして激しい戦闘が続く地へ赴くのか。

悠長なことを言っている時間はない、と非難を浴びるのだろうけれど、ひとつひとつの疑問を考え抜くことが解決の手段にはならないか。
そんなことはやっている、ということなのだろうが、私にはとても問題の答えが出ているようには思えない。

ちなみに付け加えるならば、この事態を招いたのはオバマが弱腰だったせいだといきり立っている方々が多いようだけど、それは間違い。
バカブッシュが愚かな戦争を始めた時にこの状況はすでに生まれていたと言ってよい。