本棚探し

昨日、妹からラインで脅しが来た。
「東京事務所を移します。本を置くスペースの家賃、負担する気持ちがありますか?」
これは質問ではない。
「負担しなきゃ、わかってんだろうな」という恫喝であります。
しかし、警察に訴えるわけにはいかない。
悪いのは私だからである。

もともと自宅に置ききれなくなった段ボール箱30個分の本を妹が東京事務所を作ったときに、こっそり送りつけて「図書館としてお使いになったらいかがでしょう」となし崩し的合意を成立させたのであった。
「家賃は?」という遠い太鼓のような声が聞こえた気もするんだけど、そんなもん聞こえないと思えば聞こえないでしょ。
かくして、それらの本は私がいつでも閲覧できるようにあるべきところに収まったんだけど、これが、行かない。
なんだかんだで忙しくて、仕事で本を選ぼうと思っても、いちいち探しに行けません。
「意味あんの?ないでしょ。捨てたら?」
先日もそんな転向を迫る尋問を受けたんだけど、信念は変えられないもん。
本は捨てないの。
しかし、だから置いて、は通用しなくなったのが冒頭の脅しである。

自宅に引き取ればいいじゃん、とかノーテンキなことが言えるのは豪邸にお住まいのお坊ちゃん、お嬢ちゃんくらいだろ。
私の自宅仕事場にはもう本の置き場はない。
デスクまでの細い獣道以外は本で埋め尽くされていて、家族に悟られないよう、ジミジミとドアの外に本置き場を浸食させているんだけど、あそこに置いといた本がここにある、という不思議な現象が起きて、勝手に仕事部屋の床に積まれていたりする。

「おいくら千円くらいかしら」と問い合わせたら、「おいくら万円の間違いだろうが」と怒られちゃった。
ああ、壁が欲しい。
壁という壁をすべて本棚にしたい。

本を探す人生、が本棚を探す人生に変わりつつある。
変わってしまっている。

妙案はございませんか。
「うちの使っていないマンション、ただで一生使っていいよ」というおかしな人がいたら、ご連絡ください。

私の仕事場のほんの一部を切り取ってみました。