READY FOR A REVOLUTION

朝起きてメールをチェックしたら、久しぶりにネパールの友人から1通届いていた。
「必ず最後まで見ろ。2分くらいだから」とだけ書いてある。

彼はダリットと呼ばれるカーストの中にも入らないアウトカーストに分類されている階層の人間である。ネパールは数年前王政が倒れるまでヒンズー教が国教となっていた唯一の国であった。インドはヒンズー国家のイメージが強いが、国教は定められていなかった。そのためヒンズー教過激派はネパールを見習えとアジテーションしていたくらいである。

ただ、実際はネパールにはネパール仏教徒チベット仏教徒、イスラム教徒、キリスト教徒、キラット教徒、等々が混在する、インドよりもカーストを意識することが少なくてすむ国である。特にヒンズー教とネパール仏教の混淆は激しく、どちらの信者も熱心に通う寺があったり、シヴァ神の象徴である男根(リンガ)と女陰(ヨニ)を模した構造物のリンガの部分に、どう見ても観音菩薩としか思えないものが据え付けられたりしている。そういうところがネパールはいい。


ずれました。
その彼はカトマンドゥのダルバール・スクウェア(王宮広場)のガイドをやっている。
ネパールに行くたびに、こじんまりしたアパートの自宅に呼んでくれ、貧乏バックパッカーにご飯を食わしてくれる。私が酒を飲んで歌ったりもする。奥さんは背の高い美人だし、目眩がするくらい可愛い娘とまあハンサムになるんじゃないのという息子がいて、幸せを絵に書いたような家族である。

娘の写真はスキャンしていないので、仲良くなったお土産屋のエソダの写真を付けておきましょう。
もう結婚されています。ネパールにはこんな感じの美女がとんでもなく多い。


でも、そんなに幸せではない。ダルバール・スクウェアにはガイドがゴチャマンといて、みんな仲間ではあるが、それだけいればなかなか観光客はゲットできない。何度も通っている私のような人間は当然雇ってくれない。また、最近は中国や韓国からの団体旅行客が激増しているのだが、彼らには団体のガイドがついていて、せわしなく寺を回って風のように去っていくので、これも商売にはならない。

そんなわけで、彼らは奥さんの実家、親戚からの援助も受けながら暮らしている。
大変だなあ、と思いながらも私ができることはたかが知れている。

彼は心臓が少し悪いようで出かけなかったそうだが、4年前にネパールでブームになっていたのが「出稼ぎ」だった。日本に来ているネパール人も多いが、日本はビザが簡単には取れないので、来ている方々は強いつてがあったはずである。
行き場所は中東である。運転手、料理人とかいろいろあると聞くが、よくよく調べてみるとイラク米軍の基地であったりする。思い切り中間搾取をされているだろうが、それでもネパールでじっとしているよりお金になる。日本に帰るため空港に行ったら、これから出稼ぎにでる若者と見送りの家族で、暴動かと思うほどこんがらがっていた。今はどんな様子なのだろうか。

やっと本題。彼が送ってきたのはYou Tubeのアドレス。下記のもの。

http://www.youtube.com/watch?v=ACX_53Q8kW8

ウォール・ストリートやヨーロッパだけではない。ネパールでも怒っているのだ。声を上げないと何も変わらないどころか、悪くなる一方だと世界同時に怒りがこみ上げてきたのだ。マネーが世界中を飛び回ることができるようになって、とんでもなく豊かになる人間がいれば、取り残されて食うにも困る人間も出てくる。「経済問題はそんなに簡単なことじゃないよ」。知ってます。でも、考えなきゃ。

2010年末に93歳になるフランス人、ステファン・エセルが書いた「INDIGNEZ−VOUS!」という本が爆発的に売れた。ペラペラの小冊子のような本だが、それに呼応するように昨年若者たちが怒り始めた。
私は英語版で読んだ。「Time for Outrage!」。日本語の翻訳が昨年12月に出た。「怒れ!憤れ!」。
一読をお勧めする。

Indignez-Vous!

Indignez-Vous!

Time for Outrage!

Time for Outrage!

  • 作者: Stephane Hessel,Charles Glass,Damion Searls
  • 出版社/メーカー: Quartet Books Ltd
  • 発売日: 2011/08/01
  • メディア: パンフレット
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怒れ! 憤れ!

怒れ! 憤れ!