寒くないのに雪が降る

昨日、午後からの打ち合わせに行く時に着過ぎたか、と思うほど暑くて汗をかいたので、「今日は雨なのにポカポカしてる」と誠にトンマな勘違いをしていた。
ニュースの打ち合わせをしていると「今日は雪が降るんで、それやっぱり入れないと」とみんなが目がマジで、真剣に声をそろえて主張する。

私は天気予報にほとんど関心がない。
傘が嫌いだから。
傘と何の関係があるかと申しますと、傘が嫌いなので、よほどのことがない限り持ち歩かないからでございます。何故嫌いかと申しますと、持って歩くのが邪魔臭い、必ず忘れてしまうので毎回はらわたが煮えくり返るくらい自分に腹が立つからでございます。
従って、家を出る時に雨が降っていない限り、その日一日雨は降らないと決めてかかる。
というわけで、天気予報を無視する悪習が身についてしまった。
私だけかと思っていたら、他にもそんな人多いんですよ。本当だから片っ端から知り合いじゃなくてもいいから、確かめてみてください。

ロンドンなんて、ほとんどの人間が傘なんか持ち歩かない。
天気予報なんか気にしていない。
雨が降っても気にしない。
濡れて帰る。あるいは雨が止むまで待つ。ロンドンの雨はたまに帰れなくなるくらい激しい雨が降り続き、悩んでしまうが、ほとんどの場合、待っていれば必ず止むのである。
イギリスジェントルマンの雨傘は嘘。たまにこいつ男らしくなく傘持っているな、という奴がいるが、これがまた極端で、馬鹿でかいゴルフ用の傘をさしている。
ま、そんなことも私の人格形成に影響しており、傘を持たない。

そんなことがあって、打ち合わせを終え、外に出たら軽く雨が振っていた。
昨日は家を出る時から雨だったので、仕方なく傘を持ってきていたのだが、巨大ビルの上階まで戻る気にはとてもならず、そのままうっちゃって、食事の約束へ急いだ。
嘘。本当は偉いプロデューサーに傘を捜してもらい、キープをお願いするという暴挙に出ていました。ごめんなさい。

食事を終え外に出たら、とんでもないことになっていた。こんな雪どんだけぶりかしら。バーに一軒寄って、打ち合わせをしながら外を見ると、その雪の勢いたるや、うっとうしいを通り越して、見事である。冬の桜吹雪である。

いやいやいや、皆さんのニュースの勘はすごい。俺なんてかけだしのすっとこどっこいだった。心から反省しています。

食事をしていた相手は私の80を超える母親で、タクシーに乗せて帰そうと思ったらタクシーいないじゃん。タクシーを求めて道をさかのぼっていたら、母親の白髪の迫力だったか、先にいたカップルが「お先にどうぞ」と譲ってくれた。あー、若い方は本当に親切。ありがとうございました。

あんまり嬉しくて、おなか一杯だったのに気がついたら博多ラーメン屋に座り込んでいた。
驚いたことに替え玉まで食っていた。
雪とラーメンは相性がいいんだねえ。
この時間でまだ腹が張って苦しい。
今日は朝飯、昼飯抜き。

ロンドン駐在時代、5年に一度というほどの雪が降り、都市機能が完全に麻痺し、自宅では台所の蛇口ひとつ以外水が出なくなり、風呂に入れず、トイレもバケツで流す生活を強いられた。
床を這っていたパイプが凍ってしまったのよ。お湯をぐるぐる回して暖房にするシステムだったので、身体も心も凍る悲惨な生活が3日続いた。
まだ変わってないような気がする。

写真はスコットランド。こっちは本気で寒い。でも、暖房が切れることはない。