議会で議論するという議論

えー、消費税問題は自民党公明党が「事前協議はせず、堂々と国会で議論する」と正論をぶつけているようでございますが、他の議題については協議に応じるというのはやや不可解であります。
どの国でもきれいごとは言っても政治は常に政局ですから、日本だけダメダメな国というつもりもないんですけどね。
だけどさ、日本の議会って良くわかんないのは、爆弾男とかでない限り、質問者が質問をし、答弁者はあらかじめ用意されている紙を見て「丁寧に」答えるという形態が常態化しているわけでですね、議員が「おっ!これは鋭い質問だ。私の考えが間違っていた」なんてことは絶対にないんですよ。あのやりとりは議論なの?
死刑存廃の時なんかは少し違うか。

つまり、議会ではほとんどのケース、議論はされていないということがいいたいわけです。議論するということは「話し合う」といこと、「話し合う」ということは自分の主張が間違っていたと思ったときにはそこで潔く、主張の誤りを認めるんだよ、とも小学生の時教えられたような気がするんだけどなあ。
50年近くたつと常識も変わるということなのかね。
まあ、あの頃も何かというと「議長!」のあとはグチャグチャに議員が立ち上がって揉みあうという茶番が繰り返されていたから、本質的には変わっていないのかもしれないけど。

日本の議会は面白くない。全然面白くない。
自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」って言った小泉の答弁は出鱈目だけど面白かった。メチャクチャ言うなあこのオッサン、と官僚もあせったんじゃなかろうか。
あのような日本語を理解しない政治家が出てくると、別の意味で笑えるんだけど、漫才聞いてるんじゃないんだから、程々にしてもらわないと。

アメリカの議会もつまらないよ。
テレビ中継してんのに、自分に関係、関心のない議題の時は他の議員がいないんだから。スカスカで、演説しているほうもやりがいがなかろうと思うんだけど、「仕方ないよな」って顔で壇上に上がっている。

イギリスは面白い。
本当に議論しているんだもん。質問が終わると間髪あけず、議長が答弁者を指名し何も見ないでやり返す。日本みたいにふやけた煎餅みたいな声で「内閣総理ダイジーン、野田よしひこくーん」ってガキが遊びに誘いに来てんじゃないんだから、という雰囲気はまったくなく、サンデル教授の白熱教室よりも白熱している。笑いも取りに来る。イギリスで議員になるには吉本の芸人並の技が必要とされる。「ドッ!」と笑いで議場が沸くと、「チクショー」って感じで相手も笑わせに走ったりするもんな。
びっくりするのは議場に議員の決まった席がなくて、早い者勝ちでながーいベンチに座り込んでいること。ベンチですよ、ベンチ。だから党内反対派は後ろのベンチに座っているから、「バックベンチャー」って呼ばれるんですよ。覚えといてね。
もっと面白いのは「これは」という議題の時には席が一杯になって、座れない議員がたくさん溢れてしまい、入り口あたりで立ってるのよ。議員には人権なしって感じ。
そんなわけで人の国の議会中継が面白くて、よくテレビを見ていた。
皆さんもイギリスに行かれた際には、ロンドン塔なんか行ってもつまらないから議会中継を御覧になることをお勧めします。

さて、そこで本質的な問題であるが、議会で議論されたことが国政に反映されているかというと、実はどの国でもそんなことはない。結局、議会前の説得工作、脅し、すかしで物事は決まっている。
よくアメリカ大統領が議員に電話を掛け捲って説得に乗り出していると報道されるが、あれは本当で、それが悪いことだと誰も思っていない。
議会での議論を聞いて突然意見を変えるという議員はいないのである。

イギリスもアメリカも日本より党議拘束はずっと緩いので、自分の党の主張に納得がいかなければ反対票を投じる。事前に議員同士の議論がなされていたりするんだね。
これはこれで、形式だけの日本の国会より機能しているように思うんですが、いかがなもんでしょうかね。

どうよ、自公の皆さん協議に応じたらいかがですか。反対なら反対でいいからさ。
あれ、賛成なんだっけ。

写真は議会とは何の関係もないロンドンのリージェンツパーク。