不思議の国のアリス症候群

娘が嫌な夢を見たと言いながら起きてきた。
内容は娘のプライバシーの問題があり、のちに訴えられるかもしれないので書かないが、その話を聞いていたら急に小学生、中学生の頃の奇妙な体験を思い出してしまった。
忘れたい、と願っていたわけではないのだが、それがいつの頃からか消えてしまったので、気にならなくなっていたのだろう。

正確に言えば「体験」というよりも「見え方」「聞こえ方」。
授業中や友人と話をしている時に多かったような気がする。見ているものの大きさは変わっていないのだが、突然、黒板、先生、一緒にいる生徒が遠く、小さくなっていく。声も普通に聞こえているはずなのに、どこかで誰かが私に関わり合いのないことを話している。そんな「感じ」なんだが、単なる錯覚というより、ずっとリアリティのある「現実」としか思えない。
驚いて必死に元に戻ろうとするのだが、努力してどうなるものでもなく、そんな時に先生に当てられてもどこか夢の中にいるようで、別の自分が勝手に話をしているのだ。

何の前触れもなくそれが起きるのだが、慣れてしまうと「ああ、また来た」と対応できるようになっていた。最初は驚き、恐怖も感じていたが、あまり頻繁に起こるので、私だけでなくみんな同じことを体験しているのだと納得していた。誰にも尋ねたことはなかったのだが。

この体験、確かかなり長く続いていたよ。

どうもそれが中学生になって「自分が消えれば、世界も消える」という唯我論につながっていったように思う。で、それが宗教に異常な興味を持つきっかけになったか、という話になると異常に長くなるのでやめとこ。何回かに分けて書きますから、注意して読んどいてね。

そんなことを朝から家族に話をしていたら、妻が「それ、不思議の国のアリス症候群っていうやつじゃない?」と物知り顔で解説し始めた。知らなかった。手っ取り早いウィキペディアで調べてみたら、本当にそうだった。
「知覚された外界のものの大きさや、自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群」と書いてある。まさに「不思議の国のアリス」の物語そのものである。
私の場合は自分の大きさが変わるというイメージはなかったが、あったらもっと怖かったと思うね。

「主観的イメージの変容」も私のケースはやや離人症的なところ、現実感の喪失はあったが、人によっては、時間の進み方が遅くなったり速くなったりすることもあるらしい。

決定的な原因は不明とのことだが、「日本ではヘルペスの一種、エプスタイン・バール・ウィルスの初期感染で引き起こされた中枢神経系の炎症での報告が多い」って書いてある。本当かな。「このウィルスは日本では子供の頃にほとんどの人が感染するもので、おそらくそのために、一過性のこの症状を体験したした人は比較的多い」んだって。

さっき思い出して、俺様は天才だったのかも、と勘違いしたのに普通のガキだったんじゃん。
なーんだ、という話でした。
でも、本当に皆様そんな体験あります?

これはその症候群じゃなくて、ピンが来てないけど本物。