三水会

昨日の日本経済新聞石油化学工業協会専務理事の高梨圭介さんが「交友抄」に「吟醸酒の交わり」というタイトルでお友達について書かれていた。

高梨さんは私もロンドン時代から参加している勉強会、三水会のメンバーなのに20年間続けている「吟水会」のことについて書かれているのは残念だが、やはり3年の年月には決定的な差があるな、と半ば納得していた。そしたら話の途中から三水会の話になっていた。三水会は設立から17年。

いやいや、これで三水会は何をやっているかは不明のままでも全国区である。
テーマソングを作ろう、というどこか勘違いしているメンバーも出てきたが、そのくらい晴れ晴れしい。

「大倉さんも三水会に入らない?」とロンドンで声をかけられたときは、一水会の流れかと震えがきた。ロンドンで右翼団体に誘われることもなかろうに。一水会右翼団体といっても私のような左翼シンパだった人間にも奇妙に共感する主張が多くて、嫌いじゃないんだけど、もうひとつ積極的に関われないなあ、断ろうと思ったら、「いや、毎月第3水曜日に集まるから三水会なだけで、一水会とは何の関係もない」とのこと。一水会は毎月第一水曜に集まってたからでしょ。みんなそんなもんなのね。

17年もたって、まだ若かった私も昔ならあと3ヶ月弱で定年。スゲーことになっちゃったなあ。

三水会は基本的には真面目な勉強会である。
ただ普通の勉強会と違うのは、まずビール飲んで、飯食って、ワイン飲んで、いい加減酔っ払ってきたところで講師が話し始める。
これには深遠な意味がある。
酒も飲まずに、じっと話を聞いていると真面目になりすぎて、本音が出にくい。
三水会の醍醐味はバトルロワイヤルで、講師が話をしているのに勝手に持論を振りかざす輩が出てきたり、話全部聞いてないのに喧嘩腰になって講師にくってかかる。途中で講師がやる気をなくしてしまうことも多々あるが、そこはまだ大人の状態を保っている少数の人間が一応最後まで露払いを行い、終わらせることになっている。

外から見れば「いい加減」、内側から見れば「いい加減なとこもあるが、とても面白い」
見方によって若干評価が分かれるが、楽しいんだからいいんです。

例外はもちろんあって、途中で話がこじれにこじれ、そのまま散会となったこともある。それもスリリングでしょ。

講師の話に制限はなく、政治・経済・社会ネタから、ファッション、とても人気のある病気の話。病気の話の時は、例えば鳥インフルエンザの話を聞いた後、皆さんのクリニック機能も果たさざるを得なくなり、先生はお気の毒である。

私は昔は広告の話をよくしていたが、きっぱり広告と縁を切ってからは「私は何故広告をやめたのか」「私は何故会社を清算したのか」「ラジオの復活はありえるのか」等々の後ろ向きの話ばかりしている。
それでもいさせてくれている上、講師までさせるんだから、柔軟なのかいい加減なのかよくわからない。

今週金曜が三水会の日である。実は最近は三金会
ラオス、インドの旅」について話をすることになっている。
一度、長い旅から帰ったあとに「インド、ネパール、カンボジアラオス」で話をしているのにまたなの?と聞いたら、「4年も前だからいいんだよ」だそうで、それならそれで。

ただ、昨日、新聞のコラムのことをメールでメンバーにお知らせしたら
「今回は同じ三水会のメンバーと出かけるので、行けませーん。で、いつの新聞に載ってたの?」
と出鼻をくじく返事があったのが気になる。人少ないとテンション下がるんだよね。次回は来るように。

親しい友人とでも毎月一回飯食って、酒飲むことはまず無い。それを17年間ずっと続けているんだからやはり不思議な会と言わざるを得ない。
高梨さんが書かれたように、幹事をずっと続けてくれている元新聞記者、毎日企画サービス社長、村田さんのおかげである。

この写真は毎年夏に催される三水会の研修旅行の時に、沈んでいた加藤さんが魅入られて動けなくなった水族館の水槽。癒されたそうである。