ロンドンオリンピック

東京でオリンピックをと望まれている方々には怒られると思うけど、オリンピック、そんなに来て欲しいですかね。

開催都市決定の中継では決定の瞬間は「歓喜と落胆」の差をことさらに強調して報道するけど、各都市、来て欲しい人しか集まっていないんで、当たり前のことである。
あれを各都市の町歩いてる人に聞いてくれないかしら。たまにやっているけど、どうしても私には「しょんぼり」「大当たりー」の人のコメントをピックアップしているようにしか見えないんですよ。

ここですぐに調べることもできるんだけど、実は私、ロンドンオリンピックがいつ始まるのかさえ知らない。もうすぐそうですね。来週とかなのかしら。違いました。じゃーん、27日からでした。
どなたが日本代表になるかが大変話題になっていたこのごろですが、申し訳ない、ほとんどわかっていない。体操の内村さん、田中さんは知っている。レスリングの浜口さんはテレビにお父さんが出てきて、お一人で大変盛り上がっていたので知ってる。一生懸命努力すればまだ名前が出てくるかもしれないが、ここはそんなことで努力する場でもないんで、置いておいて。

私とて、オリンピックが始まれば、興味がないといいながらも、中継見ちゃうこともあるんで、つまらないとか、意味がないとか言う気はまったくないのだけど、あの「頑張れ!日本」というのがもうひとつ身体に馴染まない。日本人が金メダル取れば「良かったね」と思うが、国別のメダル獲得数で「日本、伸びませんねー」と言われてもね。

オリンピックって国同士の戦いじゃないでしょ。まあ、戦争の代替イベントと言い切られてしまえば、そういう側面もないわけじゃないんで、そうですか、なんだけど。
選手の皆さんが「日の丸をを背負って戦ってきます」とかおっしゃり、気合を入れているのを見ると、「そんな、国のためなんて考えなくていいから、自分のために悔いのないよう精一杯頑張ってきて」と声をかけたくなる。「国のため」のほうが強くなれるんだろうか。
選手の競技じゃなくて、国家の威信のための戦いじゃどこかおかしなことになってしまうんじゃないかと思うんだけど。

多分私の言ってることは圧倒的な少数派なんだろうとわかってはいるんだけどね。

オリンピックに興味がなくなったのは、ひとつにはロンドンにいた時に夏季オリンピックが2度開催されたからだと思う。イギリスも自分の国の選手を応援するわけだから、テレビ中継はイギリス選手中心になる。イギリスが弱い競技は全く放送されない。そうなると日本人選手を見る機会なんてほとんどないわけですよ。1日遅れで日本の新聞を見て、初めて注目の日本人選手がどんな結果を出したかわかることになる。

ライブ感なんて全く味わえないわけだから、興味なくすでしょ。
ホッケーとかなんだっけ、イギリスはいろんな競技の発祥の地なんだけど、あまり強いのがないんで何を放送してたか忘れてしまったけど、要は日本人が見てもさっぱり面白くないものばかり。
そんなことが夏も冬も続くと、どうでもいいイベントになってしまうのよ。

日本に帰ってきて、急に「ニッポン、ニッポン」になっているのを見て、逆に怖くなっちゃったんだな。だから98年の長野オリンピックの時なんかは、わざわざその期間にアジアをうろついていたわけだ。「先週まで日本にいたよ」というオーストラリア人に「スキージャンプで日本人がみんな泣いてた」って教えてもらって、「へー」なんて思ったりしたもんな。

東京オリンピックのときのことで一番印象的だったのは、プールの色だ。
ちょうど、水泳の競技を放送していた時にカラーテレビが届いた。総天然色。すごいものが見えると思っていたら、プールの色が緑になったり、ピンクになったりするし、選手は真っ青の上、ライブ中継にまだ慣れていないせいもあったのかもしれないが、画像が乱れまくる。
競技の内容は何も思い出せないが、別の意味ですごいことになっている、と驚いた。

ロンドンの街角インタビューでは皆さん笑顔で「ええ、とても楽しみよ」「世界中の人が集まるのよ」と喜んだ顔を見せているが、あれは嘘です。証拠はないが、イギリス人が大きなイベントで人がゴチャマンと押しかけてきて、渋滞や、レストランが予約で一杯だったりすることを喜ぶはずがない。
ちょっとしたゴルフ大会でも、ゴルフ場付近の住民は家を貸してしまい、ヨーロッパに出かけてしまう。(イギリス人は大陸に行く時は「ヨーロッパに行く」といいます)
うるさいことは嫌がるのである。

世界中の皆さんが喜んでも、ロンドン住民は喜ばない。
うっとうしいことになっちまったなあ、と思っているに違いない。あとで友人に聞いてみよう。
聞いた後のほうが説得力があったか。

そんなわけで、私は東京もオリンピックはいらないんじゃない?と秘かに心の奥で叫んでいる。
友人にオリンピック誘致に関わっている人間が多いので、このまま黙っているつもりだが、どんなもんでしょうね。
万が一これを読んでいても怒鳴ったりすんなよ。

ロンドン郊外の小さな町で撮りました。