オリンピックだ

先日、東京オリンピックはもういらないんじゃない、と書いたところ、そんなことはないという無言のコメントが押し寄せてきたような気がして、改めてロンドンイギリス人の友人に「それでどうなのよ、ロンドンじゃみんなブンスカ言ってるらしいじゃん。興味ないんでしょ。嫌なんだろ。見に行かないよな。スッゲー寒いらしいじゃん」とメールを送ってみた。

速攻で長文の返事が帰ってきた。
あんまり長いんで嫌になっちゃったけど、なるほど奴らも同類か、前から日本人に似ているところがあるとは思っていたが、こんなことになちゃったか、ということだったので、紹介させていただく。
私の勝手な解釈も加えているので、そのつもりでね。

何しろ、まず皮肉から始まり自己卑下を繰り返し、おもむろに実態を語り始めるので、そんでなんだっけ、ということになるので多少はしょります。( )は私の解説。

イギリスは他のヨーロッパの国々と同様、破綻の道をゆっくりとたどりつつある。金がないのにオリンピックなんてやりやがって、一人当たりの負担を考えてみろってんだよ。北京はあんなに派手にぶちかまして、あっさり大国にのし上がったけど、ロンドンオリンピックは先進国から滑り落ちる有様をわざわざ世界中の皆さんにお見せすることになるんじゃないか。

イギリスのメディアはお前も知っての通り、ぼやきばかり、悲観的で皮肉たっぷり。いつもスキャンダル、間違いばかりをあさっていて、それをセンセーショナルでスキャンダラスな見出しをつけて、ひどいぜこの国は、なんだってこんな国になっちまった、ってやるんだよ。(それはよく知ってるけど、改めて言われると日本にそっくりじゃん)

オリンピックに関しても同じ。ずーっと地下鉄がどえらいことになるに違いないって文句を言い続けているし(間違いなくそうなる)、特別レーンを設けてオリンピックの役員や「特別な連中」だけ通すことになっているんで、ただでさえ渋滞しているのに、どうなるんだよ。(ロンドンの道路はもともと馬車通りなので、メインの大通りでさえかなり狭い)

だから当然のこと先週に至るまで、エキサイト?するわけがないじゃん。
と・こ・ろ・が・だ、先週あたりから突然雲行きが変わってきて、イギリスはとんでもない興奮の渦の真っ只中にいるわけだ。今日の新聞じゃ、オリンピックの熱狂一本槍。ついに来たね。イギリスはオリンピック賛歌を高らかに歌い始めたぞ。

今週になって何人から「こんなことは一生に一度のことだぜ」といわれたか思い出せないくらいなもんだ。今週会った人間は全員がオリンピックを話題にしていて、もう誰も文句なんて言ってない。

そうだぜ、天気も今年は史上最悪の惨めな夏で、この3ヶ月間は毎月観測史上最高の降雨量だ。(私は5月にロンドンで雪に降られたことがあるが、7月19日の日本に新聞で報道されていたような最高気温12度というのは記憶にない)しかし、信じられるか、今日から少なくとも10日間は晴れなんだぜ。そう天気予報が言ってるんだぜ。知っての通り、陽が差しゃイギリス人は幸せになれるんだよ。実際、お姉ちゃんたちはドレスを脱いで、下着は見せ始めるし、ビキニなんてつけちゃってるぜ。お前も来い。(これは事実。確かに夏にこれは暑いくらいだということになると町中で、水着になる綺麗なお姉さんが出現する)

俺も見に行くに決まってんじゃん。陸上のチケットは取れなかったけど、サッカーとバレーボールが取れた。(サッカーはいいにしても、イギリスのバレーってどうなんだよ)
今日、ユニオンジャックを家の前に掲げるぞ。オリンピックのお祝いだ。

ということでした。開催5日前になって、オリンピック翼賛会の様相を呈してきているようである。
9日前に書いた私のロンドンの人間分析は的中していたのだが、突然天気とともに逆転してしまったようである。
絶対にこれは書くなよ、とあったがあっさり書いてしまうと、彼は私より12年上である。なかなかにシニカルな奴なのだが、やはりまわりに流されてしまったか。

私もオリンピックが始まるとこうなってしまうのだろうか。
最後は熱狂で締めていた。

Wouldn't want to miss London 2012 now it is finally upon us.
だそうだ。

リージェンツパークのバラ園で撮りました。
綺麗だね。