夢売るふたり

この映画のことはたくさんの人が感想を書かれているのでやめにしようかと思ったが、やはりすごくよくできているので少しだけ。

夢が結婚って人がそんなに増えたのかな。
私の知り合いの女性には結婚しない人、していない人がやたらたくさんいるので、松たか子がナレーションで「ほんの少しのきらめきを」と語るのを聞いて、そうかそんなことだったのか、と驚いた。もしかしたら西川監督がうまいだけで、結婚は眼中にない人もたくさんいるのかもしれないが。

この映画ような夫婦関係が成り立つのかどうかは怪しいが、松たか子のずば抜けた演技で「ありえる」と思わせてしまう。
阿部サダヲもツートップで見事ではあるが、この映画を成り立たせたのは松たか子
これまでの西川美和監督の作品では完成度の高さから言っても、興行的にも最もよくできているのではないか。
松たか子をキャスティングした時点で決まっていたように思う。

原案、脚本、監督全て西川美和
小説、マンガ、実話から映画を作ることが多い昨今、この監督は日本映画を支える一人となります。
ともあれ見に行ってください。ちゃんと成功させないと。

これで終わってもいいんだけど、つまらないことをひとつ。

数年前、松たか子が夢に出てきた。
私は著名人の夢を見ることなんてありません。
だから、夢と現実を混同してしまった。
松たか子が「こんなに好きなのに、どうしてわかってくれないの」と私に迫るのである。
「俺もー」と叫びたいのだけど、何故かこちらは声が出ない。どうも松たか子の迫力に圧倒されているようである。
目が覚めて、松たか子は俺がそんなに好きだったのか、と一度も会ったことなんかないのに30分くらい本気でそう思っていた。夢だとわかって、「ああ、それでもギューッと抱きしめとけばよかった」と心底悔やんだ。今も。

インド、リシュケシでサドゥとおぼしきふたりが、こっそりアクセサリー屋の前で何か探していた。
夢みたいだった。