本日、特番

「大倉といえばインド」という偏った見方をされると困るが、そういう側面もないではない。
しかし、実際に住んだこともないしな。怒る人もいるかもしれないから、「インドといえば大倉」ということにはならないように今後とも気をつけます。よろしく願いします。

「『私的Found MUJIの旅。』インド篇」という特番が本日19時からインターネット・ラジオ局OTTAVAで放送されます。約2時間。ちょうど聴きやすい長さになっています。
ラオス篇」は先月放送され、大変好評でしたので、「インド篇」はそれ以上のものを作るということで気合が入りました。毎回そうなんですが、構成、選曲、語り、すべて私がやらせていただいています。皆さんが聴いてくれていると思うと興奮して寝られなくなっちゃう。

適当にしゃべって、チャラーンと曲選んでるだけじゃんというバカモンがいたら出て来い。渋谷109の前でプラカード持って待ってろ。いつか通ることがある。こっちから声かけるから、徹底的に話し合おうな。暴力はよせよ。

インドもラオスと同じで約10日ほどいたが、ラオスよりも行った場所でまるっきり様子が違うんで面白い。作った本人が言っているんだから、間違いないって。とにかく聴いてみてくれ。ネットなんで世界中で聴けますよ。しつこいが日本時間19時からです。

こちらからです。
http://ottava.jp

BOOK BARでもそうなんだけど、「ちょうどその時間用事が入ってたんだよ」とか、正直な方は「忘れてた」と言い逃れをするが、今回はそれは許されない。
何故か。
当分の間オン・デマンドで聞けるからである。無料だ。
頼む。聴いてくれ。
命がかかっている。

ここで明日から聞けます。
http://ottava.jp/muji/
で入って、ヘッダのスペシャル番組をクリックすると、ラオス篇、インド篇と並んでいるから、好きなほうから聴いてください。

えーっと、インドと命か。
番組とは関係ないけど、こんなことがあった。

バナーラスでベッドの上で仰向けにひっくり返っていた時、何を思ったかあばら骨の切れる中央部、みぞおちより少し上のとこを触ってみた。あら、何か堅いものがある。コリコリしている。最初は全然痛くなかったのに、しばらくいじっているうちに、だんだん鈍痛を感じるようになってきた。

冷静だったな。
ガンだと思った。
これまで生きてきて、こんなところにこんなおかしなものなかったもの。どうなんだろう。触れるくらいになっているんだから、かなり進行しているのかな。進行していればそれまでのことよ。帰国して「これはいけません」と医者に宣言されたら、またここに戻ってこよう。墓なんか要らないから、川に流してもらうよう手配しよう。宿のオヤジに金握らせときゃ、大使館への連絡くらいしてくれるだろう、と綿密な計画を立て始めていた。

インドではガートで死体を燃やしている様子は撮ってはいけないことになっている。遠藤周作の「深い河」の最後あたりで、確か馬鹿カメラマンがこっそり盗み撮りをしてインド人に追いまくられているシーンがあったな。

深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)

そんなことは充分承知しているので、火葬のガートの近くを通る時や、それを眺めている時はいつもカメラをバッグにしまっていた。

胸のしこりが少し気になりながらも毎日ボーッと河を眺めている日々だったのだが、ある日、恒例のインド人がやってきた。
「ボートに乗れば写真を撮れるぜ。ぜんっぜん問題ないから」
「俺はこうやって眺めているだけでいいんだよ」
「見てるだけで何が面白い、こんなもの」
「うるさい。俺はガンなんだよ。こうやって色々考えているんだよ。あっち行け」
「ガンか、死ね死ね。馬鹿じゃねえか」
と何故かボート屋のオッサンと喧嘩になってしまった。
バナーラスでは必ずこういう手合いが寄ってくる。どうしても火葬を撮りたいのなら止めはしないが、よほどの望遠を持っていないと、なんだかわからない写真になるだけです。
また、非常にまずいことになる可能性もありますから、覚悟しといてね。

そんなわけで、帰国して病院に行ってみた。
「先生、ここにしこりがあって、ガンだと思うんですが」
「ちょっと触りますよ」
3秒くらい触って、
「大倉さん、これ誰にでもありますよ。これまで気がつきませんでした?」
「全く」
「普通触らないですもんね」
気落ちするほうがおかしいが、これじゃあただのアンポンタンだ。
肩を落として飲みに行った。
カウンターの中の娘さんに聞いてみた。
「こんなところにコリコリがあるって知ってた?」
「あー、ありますよね」
ふーん、みんな知ってるんだね。俺だけだ、知らなかったのは。

と、まあそんなことがあり、50歳の時のインドの旅は深い味わいのあるものとなった。
なかなかそんなことってないでしょ。

そんな私を笑いたい人も特番聴いてね。

バナーラスのガートではどんな人に会っても驚かない。