イラン式料理本

イランのドキュメンタリー映画です。
でも、イランでは上映されたことがないらしい。
どんな映画でも上映して欲しいと思うが、政治色まったくなしのこの映画のどこがまずくて上映されないんだろうと頭の中疑問符だらけ。

ほぼ題名どおりの内容で、監督のモハマド・シルワーニ氏の身近な7人の女性が、あーだ、こーだ言いながら、料理を作っていく様子が描かれている。そんだけ?と問われると困るが、基本的にはそんだけ。

始まって5分くらいは、これはどうなるのかしら、寝ちゃうかもと頬っぺたつねっていたんだけど、7人の女性たちが次々と現れて、もうすぐ100歳なんで料理しないとか、大学に通っているけど、双子もいるし料理は時間かかるしとか、義理の母親に意地悪されながら料理を無理やり覚えさせられたと本人の前で話ながらも何とかうまくやっていたりとか、なーんで面倒な料理を私が作らなきゃならんのかさっぱりわからんとか、こんなに監督に身近な女性たちでも料理に対する姿勢が違うのね、ということが見えてきて俄然面白くなってくる。

友人のイスラム関連では著名な学者の宮田律さんによれば、イスラムの女性は家庭ではすごく威張っていて、男は小さくなっているということだったが、この映画を見れば一目瞭然である。
女性は家庭にいるべきなんて全然思わないし、イランでも働いている女性は多いが、こういうのもありだな、と素直に思う。

恥ずかしながら私はイスラム圏はトルコしか行ったことがないので、かの地ではこうですよ、ウニャウニャと解説できないのがもどかしいが、すごい勉強家だった宮田さんと大学で同じイスラム関連のゼミにもぐりこんでいたので、今でもインドの次にイスラム圏には非常に興味がある。インドもイスラム圏だったこともあるわけですが。

FBでイスラムの本質に迫るエッセイをこれでもかと書き続けている宮田さんだが、イスラムの美女、食べ物、建築物の写真も大量にアップしている。それを見るたびに今、本物かどうか定かでない映画の予告編をめぐって騒ぎが拡大しているイスラム諸国をうろついてみたくなる。イスラム諸国は非常に親日的だからきっと楽しいと思います。
食事もトルコで食べたものはどれもすごくうまかった。トルコはまだ世俗主義が強いので店を選べばお酒も飲めるからとても楽しい。問題はこの映画で紹介されている食事は一部を除いてはどれもガツガツ食いたくなるくらいうまそうなのだが、やはり食事の時には酒が出てこない。
あえてドキュメンタリーなんで気を使って出していないのか、と疑ったが、やはり酒はご法度なのだと思います。それがきついな、私には。
酒がないと私の食事は5分から10分で終わってしまうから、作ったほうもつまらないと思う。

ロンドンではイスラム教徒でもお酒をたしなむ方が大勢いらっしゃったが、場はわきまえているのだろう。グテングテンの方を見た記憶はない。
日本にもイラン料理店はあるだろう。酒も出すんじゃないか。
これまで試したことがないが、映画を見て無性に行ってみたくなった。お勧めのお店があったら何とかして私に教えてください。

この映画は2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞とコミュニティシネマ賞を受賞しています。

しかし、いくら考えてもこの映画がイランで公開されない理由がわからない。
明日から岩波ホールで公開されます。

トルコのボスポラス海峡だ。