ロック・オブ・エイジズ

また、とんでもない映画の話書いちゃうな。
この映画、面白いと思う人とカスだと思う人が綺麗に分かれるはず。
FBで私の尊敬する業界の方が、「つまんなくて半分寝ちゃった」って書き込んでて、やっぱりな、と思いました。

私はこの映画の情報を全く持たずにトム・クルーズがロックの帝王役で出るということだったので、勢いでチケットを買ってしまった。
ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルを映画化したものだったのね。
この業界に身を置く人間としては言い訳できないくらい恥ずかしい。
今度からちゃんとしますから許して。番組下ろさないで。

だから、映画始まっていきなりバスの中で女の子が歌い出しちゃったときは、あまりそういうことはしないほうがいいよ、おかしな子だと思われちゃうよ、と真剣に心配したんだけど、次々に乗客が歌いだし、しまいにゃ全員で大合唱なんでこれは今はやりのフラッシュモブかと一瞬勘違いしました。
しかし、映画の中でそんなことするわけないじゃん、と気がつき、ミュージカルじゃんと初めて認識しました。遅すぎ。

はじまりはね、ハイスクール・ミュージカル?とゲロゲロ。
こんなフニャフニャロック映画見てらんない、出ちゃおうかなと迷ったんだけど、少しずつ様子が変わってくる。そもそもこの映画には一貫した思想がないのよ。高校生が歌って踊りまくり的なチャラい設定、つぶれかけたライブハウスがシリアスな舞台かと思わせる展開、ミュージシャンとプロモーターとの確執、伝説的なロックスターの落ちぶれていく様、恋に破れた美少女の転落、ロック排斥運動のエキセントリックさ。クー、どれをとってもくだらなさ満載。くだらなさが入り乱れていて何をやりたいのかがわからない。

87年の出来事と設定しているので、「80年代のロックシーンがスクリーンによみがえる」と絶賛記事もあるが、よみがえんないよ。だって、本物が出てくるわけじゃないし、演技者が実際全ての曲を歌って演奏しているから、やばいところは大合唱になっちまって全然ロックじゃない。
出演者全員が「ロックンロール最高」って言うんだけど、ロックンロールには聞こえないもん。

困っちゃったな、という話なのだが、さらに困っちゃったのは私が楽しんじゃった、ということである。これ、どう説明すればいいんだろう。根が合唱好きということもあるのかな。みんなで歌うのが好き。しかもどれも80年代の曲だからなじみのある曲ばかり。

無理筋の解釈だけど、ロンドンにいた頃定期的にイギリス人社員も全員交えてカラオケに行ってたんですよ。90年くらいからなんだけど、最初はイギリス人がぶんむくれてねえ。
「カラオケなんかに行きたいと思う神経が知れない。自分たちの趣味を無理やり押し付けて日本人はどうしようもなく横暴な連中だ」とうるさいうるさい。

まあ、まあ、嫌だったら二度と行かないからさ、と強引に引っ張って行ったのだが、連中は日本人以上に簡単に信条を変える。夜中の3時になってもマイクを離さない。「明日は仕事だぞ、帰るぞ」と怒鳴っても「お前らだけ帰れ」ってことになるんだよーん。ただ、イギリスでは学校では音楽の授業がないので、ほとんどの社員は歌が下手。こっちはバンド経験者が揃っているから、英語で歌いまくる。しかもうまいよ。私も結構うまい。3度で簡易ハーモニーをつけてやったりすると大喜び。
「シン(私)、ヨー(偉くなっちゃった人)、これ歌って、あれ歌って」と大人気。
イギリス人はそれで面白いのか?と思うでしょ。面白いのよ。
なぜかというとですね、一人で歌うということを知らないから。
知っている曲なら全て大声で被せてくる。マイクを誰が握っていようが関係ない。
それで大盛り上がりカラオケ大会になる。

ということが7年間も続いたもんだから、どこかミュージカルノリでロックを歌うことに慣れちゃたのかも。

そんなわけで、私はかなり高い点数つけちゃったよ。
なぜかこれまで見た映画評でも絶賛なんだけど、どうも私の面白かったポイントとずれている。
それぞれでかまいませんが、見て「クソみたいだった」と思ってしまった方がいても私は責任とんないからね。あくまでも自己責任でお願いしますよ。

ロックンロールな写真がないな。
ベトナムハノイ。こんなだからここもロックンロールじゃない気がする。