東京湾領土紛争

先週ポストに放り込まれていたこうとう区報のトップ面を見て仰天した。
私の住んでいる江東区大田区が領土問題で一触即発の事態が起きていることを伝えているのである。

「中央防波堤埋立地江東区に帰属すべき」と打っている。
中央防波堤は大きくふたつの地区に分かれる。
内側埋立地、面積195ha、外側埋立地、面積314ha。馬鹿でかいよ。
内側だけで東京ドームが41.5も入る。といっても、私はいつもその東京ドームいくつ分というのがよくわからなくて、だから何なのというしかないんだけど、一般に皆さんはそれで納得されているようなので、とりあえずそういうことで御理解ください。

しかしなあ、飛行機が羽田に降りる時にまだ埋め立てやってんな、と思ってはいたが、こんなに大きくなっているとは知らなかった。
実は調べたところによると、埋立地と称してはいるが内側はすでに人工島が完成していて綺麗なもんだ。バスで東京テレポート駅から行くことができるらしい。車でも海底トンネルを抜けるとそこは広大な原っぱらしい。
で、何もないかというとこれが違うから驚いちゃう。
内側の西側には港湾施設、リサイクル工場、ゴミ処理場、さらには東京都環境局中防合同庁舎なんかもあるんだよ。立派な施設ができているわけだから、そのうち第2のお台場になる可能性も否定できない。

外側は竣工が平成33年の予定なんでまだまだだが、ここにも入ろうと思えば見学を申し込むと入れてくれるらしい。どこにでも行けるんだよ、日本は。
こちらは用途未定らしいが、膨張する東京である。何かがどうにかなるんじゃなかろうか。
豊洲だって私が越してきた時は工場と倉庫しかなかったんだから。

それでだ。問題の領土紛争であるが、内側は形式上江東区青海3丁目地先ということになっており、江東区が実効支配しているといって間違いではない。
江東区は歴史的事実を突きつけて、歴史を湾曲するのはやめよ、と大田区には一ミリも妥協をしない姿勢で臨んでいる。要はゴミ運搬車による交通渋滞があったし、ゴミや汚汁が飛んできて江東区民は苦しみぬいてきたんだ、計画が発表された時は猛反対したが、大局的な見地から涙を呑んで同意した、それなのに何だ大田区の野郎は、と怒り心頭。

この場所は当初そのほかにも品川区、中央区、港区までが自分の領土であると主張していたらしい。それは私でもええ加減にせんかいといいたくなるくらいであるから、途中で引き下がっている。

大田区の主張は「のり漁場を放棄した場所」だということで、やはり「歴史的見地」から反論している。平行線のままである。
この紛争は今に始まったことではなく、延々と論争が続いている。
東京都はいかがお考えなのか調べてみたが、よくわからない。
石原君は「領土問題については断固とした態度で臨むべき」と常々勇ましいことを言っているので、当事者が戦争でも何でもおっぱじめて、決着をつけたらどうなの、と考えているのだろうか。

それは困るなあ。
江東区民には羽田空港は使わせない、とか、太田区民はららぽーと豊洲には来るべからずなんてことになるよ。一般市民への暴力だけはよそうぜ。

救いは実効支配をしている江東区が「領土問題は存在せず」という態度に出ていないことだ。問題があるから関係機関に働きかけているというのは大人だね。国際司法裁判所へ提訴しているということと同じでしょ。

ただね、なんとなく解せないのは、何故この時期10月11日の区報で一面トップに持ってきて、「一丸となって解決へ」と打っているかだ。やはり竹島尖閣に刺激されたのかしら。

30年前くらいの豊洲付近の運河。
何にもなかったのに、今じゃマンション都市。将来の税収を考えると簡単には「はい、わかりました」とは言えないんだろうねえ。