日米地位協定と領土問題

安倍総裁は今回はアメリカの言うことに聞く耳持たんという姿勢である。
地位協定じゃなくて尖閣についてのアメリカの「話し合いなよ」という助言のことである。

尖閣諸島の問題についてはアメリカは一貫して一貫していない。
「2国間で解決してくれ」
「帰属について特定の立場をとらない」
尖閣諸島日米安保の対象となる」
「日中の対話を促したい」

先日バーンズ国務副長官が来たときには、明確に「対話と外交」を強く日本に求めた。
それに安倍総裁は盾突いちゃったよ。
バーンズ副長官にこう言い放った。
「話し合いの余地はない。尖閣についてはわれわれは1ミリたりとも譲るつもりはない」
つまり、
「対話?するわけないじゃん」ということですね。
こういうところがネット上で真の愛国者と持ち上げられるゆえんなのかしら。
安倍総裁は総理ではないんだから、あくまで野党の党首として発言したんだろうけど、思い切ったね。

「じゃ、尖閣が攻撃されてもわしら知らんもんね」と言われたらどうするんだろう。
私はアメリカが尖閣で武力紛争が起こっても軍を動かすとは思ってないんで、今回の「対話促進の勧め」も一種のアリバイ作りのようなものだと考えております。

いずれにせよ「国防問題」でアメリカに「絶対に嫌!」と言ったのはこの20年で安倍君くらいかな。

そういう安倍君だから、今回起こった沖縄の米兵による暴行事件については激しく突き上げるもんだと思ったら、さっぱり音なしの構えだ。
沖縄県知事はずっと「日米地位協定の抜本的な見直し」を主張し続けているが、どんな政権ができてものらりくらりで「運用面での対応」と意味のわからんことを繰り返すばかりである。
今回も「地位協定」について仲井真知事がはっきり見直しを求めているのに、「愛国者」たちは黙ったまま。政府も「極めて遺憾」としか抗議していない。「遺憾」じゃ抗議にならんでしょう。これまで何十回アメリカ軍に「遺憾」と言ったかね。何か変わったかね。
愛国者たちだけでなく、おそらく共産党以外は「地位協定」という言葉すら一言も使っていないんじゃないかしら。
そんなに触れたくないか。
社民党も発言していたらごめんなさい。

このいわゆる「日米地位協定」は1960年に新日米安保条約に基づき締結された協定だが、実は1952年の日米行政協定を継承したもので、「いつの話?」と突っ込みたくなるくらい古色蒼然としたものである。サンフランシスコ講和条約が発効したときに作られたものだぜ。日本が独立後、「これは飲まねば仕方なかろう」状態で作られたのよ。そのときは沖縄はまだアメリカだったわけだ。
それ以来中身は変わっていない。

世界情勢が劇的に変化している中、この協定の不平等性については激しい議論が交わされた時期もあるけど、結局手をつけていない。

この恐ろしく出鱈目な協定に関しては、ここで私が解説するよりもネット上に詳しい資料が多数上がっているのでそちらを参考にして欲しいが、くだらなくとも腹が立つ例と、米韓の事例だけあげておきますね。

2008年に万引きの現行犯で逮捕された海兵隊員の家族少年をその場にいた沖縄県警を無視して「容疑者が暴れる恐れがあったため」アメリカ軍憲兵隊が基地内に連行。少年が沖縄県警に怪我を負わせるとでも思ったか。そんなに心配してくれてるか。
じゃ、暴れる恐れがある奴らは一切外に出してくれんなよ。

アメリカ軍は韓国にも基地を持っている。
だから米韓地位協定を結んでいる。

日本では犯罪容疑の米兵引渡し要請に対し米国が「好意的配慮」を払うのは殺人とレイプに限定されている。「渡してやるが、ありがたく思え」ということです。
そのほかの容疑で引渡しを要求した場合は充分に考慮することになっている。
「考えたけど、嫌だ」と言っていいということ。

韓国では今年5月に刑事分野の犯罪対象の制限がなくなった。
どのような容疑でも米兵の身柄を拘束して捜査できるようになったということです。
当たり前のことなんだけどね。
韓国で見直しが行われたのはやはり米兵による暴行事件が相次いだからアメリカもヤバイと思ったらしい。

日本ではこういうことについてはデモとかやんないのね。
政治家も「誠に遺憾」以外は言ってはイカンことになっているように見える。
私はネット上で言われているよな「愛国者」ではないが、君たちが「愛国者」としてアメリカに声を上げるなら、そこは同調するよ。
どうなの。やらないかい。デモにも行くよ。

私は伊勢神宮にはよくお参りに行きます。