間違ったことをしたら、ごめんなさい

って教えられたんじゃないの?この日本では。
「イギリスじゃ間違っても謝っちゃダメだって教えるんですよ」とロンドンにいたころ恵子さんが娘さんの学校のことで嘆いていたが、日本は偉い人が「ごめんなさい」って言えないようだな。
どうにかして教育しなおしてやりたいんだけど、検察とか裁判官に道徳の講義をするにはどうしたらいいんだろう。タダですからどなたか間をつないでやっていただけませんでしょうか。

いわゆる東電OL殺人事件の被告だったマイナリ氏が無罪であることが覆しようがなくなった時点で、一度怒りを爆発させたことがあるが、今回の無罪判決での裁判所、検察、警察の厚顔無恥な態度に再び私の心に怒りが熱湯地獄のように湧きあがってきてしまった。

人間は間違う。
どんなに努力しても間違うことはあるので、間違ったら心から謝るという道徳が成立している。
しかしだ、東京高裁の判決では裁判長は「検察、一体どういうことだ。これまでの裁判官は阿呆ばかりか!」と声を荒げることもなく、ただ、「無罪」だけ。

検察は爪から検出されたこれまで「目視できなかった」サンプルのDNA鑑定をどんなに弁護側が求めても一切無視をして、証拠の全面開示を拒んでいた。
これを前回私は検察による証拠隠滅という重大な犯罪であると書いたが、新聞もテレビもずいぶん静かなもんだねえ。AKBのじゃんけんにはあんなに夢中になって報道しても、自分がもしかしたら無実で放り込まれる可能性のあるこの冤罪事件については、「よかったね」くらいじゃないすか。
これを検察の犯罪だと怒る人はいないのかね。

検察の犯罪はもうそこいらじゅうで見つかっているので、「まあ、検察ってのはそういうとこでしょ」ってことで済ましてしまうのは非常に危険だと思うんですけど。
「この国のかたち」に関わることですよ。

「人間は間違う」と書きましたが、今回の事件は「検察は犯意を持って犯罪を犯す」としか思えないんだけど。

さらに偉い人の書く日本語が苦手な私に理解できないのは、警視庁は「真犯人の特定に向けた再捜査を行う」と発表しているが、捜査の誤りについて徹底的に見直す、とは一言も言っていない。
これまでの捜査で何が間違っていたのかを明らかにせず、いきなり今から「誰だ、誰だ」って無闇に探して真犯人が捕まえられるとでも思ってんだろうか。私の心の広辞苑にはそういうのは「阿呆、馬鹿、間抜け」と書かれている。
謝罪については警察庁長官が「警視庁が事件の全容を解明していく中で、検討されるものと考えている」とお話になっていやがるが、「事件の全容を解明していく中」っていつのことなの。裁判で最終的に無罪ってことになったのよ。検察も白旗揚げて「無罪」としたのよ。
早い話、「絶対に謝んねーからな」という意思表示ですよね、これは。

マイナリ氏は謝罪を求めている。
当然のことでしょ。
謝んないんだって。どうしてやりましょうか。

昨日は政府が「特定の事件が『冤罪』であるか否かについて特定の見解を有していない」というこれまたキテレツな日本語で答弁書を決定した。「特定」がひとつの文章で2回出てきてますよ。俺なら0点しかあげられない。
要は「冤罪」という言葉には定義がない、って言いたいんでしょうか。
広辞苑ではね、「無実の罪。ぬれぎぬ。」となっていますよ。広辞苑は信用されてないみたいですぜ。抗議しないの?

さすがに滝法務大臣閣議後「世間一般的な感覚で広く取って言えば、冤罪と言えなくもないと思う」と極端に歯切れ悪く話したらしいが、これには理由がある。

マイナリ氏には刑事保障法に基づき保証金が6800万円程度支払われる。しかし、よく誤解されているようだがこれは国家賠償を求めることとは別物である。
国家賠償を勝ち取るには「冤罪」であることが認められて、捜査資料が公開され、違法捜査が明確にならない限りほとんどのケース認められていない。
村木厚労省局長が国家賠償を得られたのは明らかな違法捜査が認定されたからで、その他のケースでは極めてまれ、というよりいわゆる刑事事件の冤罪ではほとんど認められたことがないんじゃなかろうか。間違っていたらごめんなさい。

今回の事件は国家賠償されるべきものと思うが、マイナリ氏が不法滞在であったとか、直接関係のない話を引っ張り出したりして、必死の抵抗をするでしょう。そのため「冤罪であった」とは言えないんでしょう。でも、冤罪だよ。

頼む。この際安倍君でもいいや。あなたは「美しい国」造りを目指してるらしいですね。
美しい国」でこんなことがあってはなりません。
率先して、警察、検察、裁判官を糾弾して国家賠償請求を認めるよう力を尽くしてくれ。
それくらいやってくれたら、「ああ、自民党って政党もあったんだな」と思うと思う。

現在マイナリ氏が暮らすネパール、カトマンズの市場。