メチャクチャだ、イスラエル

私はユダヤ人、イスラエル人が嫌いなわけではない。
彼らは国の人口の割にバックパッカー率が非常に高く、どんな場所でもまず数人と出会う。
苦手な人間もいるが、ほとんどは流暢な英語を話す親しみやすい連中である。
笑顔がいい。よく話す。パレスチナ問題は避けるけど。
そんなわけで旅の最中には必ず数回はイスラエル人と飯を食うことになる。
しつこいけど、パレスチナ問題について触れなければ気持ちよく、よくあるバックパッカー同士の会話が交わせる。

しかし、国としてのイスラエルには頭から湯気が出るほど腹が立つ。
長くなるので歴史上のことについては触れないが、このところずっと右派政権が続いていることもあり、やっていることがメチャクチャである。
2006年、2008年のガザ侵攻にいたっては完全な戦争侵略行為であった。国際世論も強く非難を浴びせたが、この国は基本的に打たれ強く、どんだけ「やめろ、人殺し」と怒鳴られても意に介さないか、介さないふりをする。
アメリカのバックアップがあるからである。

アメリカのユダヤロビーは金をたらふく持っていて、議会に強い影響力を持つので、民主党共和党に関わらず、まずどんなことがあってもイスラエルを非難することはない。
では、アメリカのユダヤ人はみんなイスラエル国家を全面的に支持をしているかといえばそうでもない。ユダヤ系のノーム・チョムスキーは著名な言語学者であるが、彼はイスラエル国家に極めて批判的である。「中東 虚構の和平」を参考にされたし。

中東 虚構の和平

中東 虚構の和平

彼だけでなく、先日のイスラエルによるガザ空爆の時にはアメリカではユダヤ人によるイスラエル非難のデモが起こっている。中東イスラム研究センター理事長の宮田さんに教えてもらうまで知らなかったが、超正統派ユダヤ教徒(真っ黒な服着て、帽子かぶって、ひげ伸び放題の方々)にはイスラエル国家を否定する方々もいる。

ともあれ、アメリカでもそんな人々はいるのだが、国としてのアメリカは常にイスラエル支持の立場を崩さない。イスラエルが大量の核兵器を持っているにもかかわらず、そこんとこは知らん顔で、イランの核燃料問題を核兵器開発問題にすり替え「制裁強化」とバカの一つ覚えのように繰り返している。

そんなわけでパレスチナが国連総会でオブザーバー国家への地位格上げを求めた時も、反対票を投じている。この決定には拒否権が行使できないため、先日の総会でめでたくオブザーバー国家となることができた。アメリカは当然のように反対票を投じた。
日本は賛成にまわりました。これは石油政策の問題があるからではあるが、自民党だったなら賛成票入れたかな?どうなの石破君、あれだけエネルギー政策について不思議な顔をして語っているんだから選挙前に一言あってもいいんじゃないの。アメリカにたてついていいの?「なんてことをしたんだ」と一言言ってくんないかな。思いっきり叩くんだけど。

世界の趨勢はイスラエルのこれまでのような横暴は許してはならないという方向に向かっているんだけど、反対票を投じた9カ国の政府の皆様いかがしてやりましょうか。
「和平への障害になる」という理由だそうですがそんなわけのわからん理屈は通りませんよ。

まあ、イスラエルが反対票を投じたのは「そうだろうな」と想定内。決議前から「オブザーバー国家承認なら、アッバス体制の打倒だけが唯一の選択肢となる」とお門違いの脅しを入れていたが、一昨日には「イスラエルが代理徴収しているパレスチナ自治政府の関税について、12月の送金を行わない」と発表したよ。これはオブザーバー国家昇格に対する「報復」措置なんだそうだが、おかしいだろう。
申請は確かにパレスチナ自治政府が行いました。ただし、昇格を認めたのは国連だよ。
報復するんなら国連にしなよ。国連脱退するとかさ、賛成票を入れた国に核爆弾ぶち込むとかさ。
怒る相手が違ってるんじゃないの?

もはやその辺りの見極めもできなくなったか。
孤立への道を深めるだけだ。
早く目を覚ましなさい。

ユダヤ人とイスラエルについては前述の宮田律さんが「『ユダヤ人とイスラエル』がわかれば『世界の仕組み』が見えてくる」という本を最近出されています。
今回の騒動については触れていないが、その前段については非常にうまくまとめられた一冊です。

なお、この記事と宮田さんの見解は必ずしも一致しないかもしれません。
誤解のないようお願いします。