高田純次の名言
ずいぶん前のお話でごめんなさい。先週土曜の日経の別刷りで、「覚えておきたい『現代の名言』」という特集をトップで組んでおりました。
私は名言とか格言とかがあまり好きではなく「あー、はいはい。わかりました」という感じで受け流させていただいているのだが、最近は「名言集が売れる!」とひらめいたといいますか、売れるらしいから出そうと思う出版社が多いようで、書店でもそんなんが平積みにされております。ま、売れるといいですね。
この特集、お手軽といえばお手軽。面倒くさいといえばその通り。
「名言に関する市販の書籍や雑誌計40冊などに掲載されたもの・・・編集部でリストを作成。インターネット調査会社を通して・・・三つの項目にそれぞれ当てはまる名言を選んでもらった」そうです。
驚くのはその元となった書籍の多さだな。
皆さんこういうものを参考に元気に生きようとしていらっしゃるんだ。
「人間だもの」の人が入ってないのはなんとなく安心しましたが、みんな前向きだなあ。
しかし、あれですよね。名言というのは短くなきゃいけない。それで何か新しいことや、思いもしなかったことに気が付かせてくれなきゃいけない。いろんな縛りがあるから大変です。誤解を生みそうなものも排除しないとな。
親鸞が言ったといわれる「善人なほもつて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という悪人正機説が親鸞の思想の神髄とあちこちで言われておりますが、このことが書かれた歎異抄は弟子の唯円が書いたもので本当に親鸞が言ったかどうかは分かりません。
また、「善人が往生することができるのだから、悪人が往生できないわけがない」という解釈は間違っていると梅原猛先生などが主張されている。
「あー、えーこと言うね親鸞は」と思っていたのが、「ありゃ」となったのが数十年前。
悪人正機説が名言かどうかはわからないが、なかなか本当のところが分からない昔の名言というのは結構ございます。
私は「名言には気をつけろ」という根性の曲がった人間であります。
申し訳ございません。
以後も気をつけません。
ちなみに日経の3部門の調査で1位に輝いたのはこいつらだ。
*座右の銘にしたいのは
「強いものが勝つのではない。勝ったものが強いのだ」
フランツ・ベッケンバウアー
なるほど。わかるね。
わかるけど、これ読み方によっては「勝ったもん勝ち」、戦勝国の戦争裁判につながるイメージを持つ人もきっといますね。「スポーツをやらないバカはそう思うんだよ」とお怒りになる方もいらっしゃるでしょうけど、これ名言なんだから、普遍性を持ってないとまずいっすよね。
*仕事にやる気が湧いてくるのは
「前進できぬ駒はない」
中原誠
棋士の中原先生ですね。
スッゲー前向き。怖いくらいだ。
でも将棋の駒は、後にも行けるんだよね。
そちらのことのほうが大事な気がしたりもするんだけど、なんせ仕事だ。前進あるのみなんでしょう。
さて、問題の最後のパートだ。
*落ち込んだとき元気になるには
「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている」
伊集院静
さすが。
平然としていられない人も多いけど、人としての矜持を持ちなさい、ってことでしょ。
違いました?
違っててもいいや、そう思ってよ。
1位同着でこれもある。
「ベストを尽くして失敗したら、ベストを尽くしたってことさ」
スティーブ・ジョブズ
いいねえ。
彼の言葉とは思えないくらいスッキリしている。
私はアップル製品は何一つ持ってないし、伝記等も読んだことないんだけど、こういうこと言う人だったんだ。
このパートには私が深くうなづけるものが多い。
しかし、この特集で一番ピタッと来たのは、このパートでなんと4位につけた高田純次の言葉だ。
「世の中ってオレより頭のいい人の方が多いんだ」
やっぱりこれだろう。
最初からそう思っていりゃ気軽でいられるし、こんなブログも書いてられるんだよ。
安心しました。
高田さん番組に来てくれないかしら。杏さんも大ファンですよ。
一応本も出してるしねえ。
しかし、このパートに特集の中でも一番嫌な言葉がのっかってた。
何とか48のプロデューサーの言葉。
「いつか、必ず、チャンスの順番が来ると信じなさい」
上から何言ってんだよ、お前黙ってろ、と瞬間的に頭から湯気が出ました。
そんなわけで、今日は解散。
我が家で唯一名言を残しそうな猫。