ハーバードでカンニング

日本の高校や中学校でカンニングがばれて退学とかいう話は「かわいそうに」と思うけど、ハーバードなら「頭いいはずなのにアホやな君たち」というくらいで同情しないね。しかも退学じゃなくて停学1年〜2年らしい。ニューヨーク・タイムズに出ていた記事です。

昨年5月に発覚したそうで、政治の試験を受けた279人のうち半数が関わっていたっつーから映画みたいね。5月に発覚して今回の処分というのは綿密なかつ慎重な調査だったか、面倒なのでしばらく放っておいたということなのかはよくわかりません。しかし、約70人の学生が停学というから、学校も頭に来ちゃったんだろう。
せっかく「バーバード白熱教室」でこれからもガンガン行くぜと張り切ってたところにこれだもんな。
日本の大学で不正が行われていた、という新聞記事を見たことがないんで、その点は日本の学生は真面目なんだ、と思う私はどうかしていて、多分そんなもん取り上げてたら、新聞全部がそれで埋まるから取り上げない、ということなんじゃなかろうか。
ニューヨーク・タイムズがハーバードの試験の不正を報道するということ自体に価値がありそうな気がするってのが、インフェリア・コンプレックスそのものだな。つまんないの。

でもですね、この試験というのが「自宅で資料に当たることが許されるリポート形式」のものだったらしく、不正が発覚したのは「答案の言葉遣いが全く同じだったり、酷似していたため」だったらしい。
こういうお話でしたら、本気で阿呆だと思えるのが嬉しい。要は他人の答案のコピペでしょ。諸君、頭悪いよ。日本の大学にいらっしゃい。

ハーバードでは年平均17人が「学問上の不正」で停学処分を受けているらしい。
やるね。

私はこの手のレポートでは一切の不正の記憶がない、というのはいい加減な話で、そんな試験があったかどうか記憶にない、というのが正確なところだ。
それで今こんなことになっている。

しかし、ここで面白いから告白しよう。

私が大学を卒業して就職した会社では、4月からいきなり正社員にはしてくれなかった。
10月に社員登格試験というものがあり、それに通らないといつまでたっても同じテストを受けなければならない。最終的には何回も受けていりゃ必ずパスするので、バカバカしいと会社を辞めない限りは社員になれた。

私は実はそのテストで不正をしました。
携帯で問題を送って、答えを先輩から教えてもらった、というようなことができればそうしていたかもしれないが、携帯なんかないからね。その時代は。
もっとも原始的な手法を用いた。
後から前に座っていた奴の答えを覗き込んで、ひたすら暗記問題を写したのでござるよ。
当時私はクリエイティブ局にいて、毎日コピー1000本ノックをやられて、頭がおかしくなっていた。社員登格試験どころじゃない。目の前の壁が厚いのなんのって。朝から晩まで脂汗流して「まごころを形にする」とか、はっきり申し上げて、どうでもいいコピーに苦しんでいた。

試験の内容は暗記物が多い。
秋田の地方紙は秋田魁とか、テレビ西日本TNCとかそういうやつね。
覚えりゃなんでもないんだけど、怖いくらい頭に入ってこない。自分に関係ないと一旦思うと脳のどこかが拒否するんだな。
でも、自分に関係ある「カンプとは何か」とか、「コンセプトについて説明せよ」とかいうのはすらすら書けちゃう。
当時の広告キーワードは「コンセプト」でした。5年周期くらいで広告業界ではキーワードが変わります。大昔は「パンチ」がキーワードだったこともある不思議なところです。

困ったね。記述部分は完璧なんだけど、新聞名、放送局名の欄がガラガラ。
このままじゃ恥かいて帰ることになる。
前に座っている新聞局に配属されていた人間の背中を突っついた。
「ずらせ」
大胆にもそう口にした。
そいつは本当にいい奴で、普段からみんなに好かれていた。
うまーく私に見えるように答案用紙を横によせてくれた。
答えはどれも記号のようなものだから、見えてりゃ写すのなんて簡単なもんだ。

「ありがとな」
「ちゃんと見えたか」
「見えた。助かった。恩に着る」
「かまわん。合ってるかどうかわからんがな」

同期はありがたい。
自分を捨てて助けてくれる。

発表の日が来た。
私はギリギリの点数でパスしていた。
私に答案を見せてくれた最高の同期は落ちていた。

社員にしてくれた会社の方、今から給料返せとか言わないよう大人の対応にしてくださいね。
もう自主退学してんだから。

これは何か答えなさい。
上海雑技団。
正解。