北朝鮮による核実験非難と日本

昨日からこのニュースで溢れていて、私も安保理決議に明らかに違反している行為であるから制裁はやむなし、と考えている。中国も非難しているくらいだから、さまざまな思惑、駆け引きがあったとしても制裁は行われるだろう。

じゃ、なにも大倉が余計なことを書くことはないだろうと、私自身思いはしたのだが、核兵器問題についてはどこか常にストンと胸に落ちないところがあるので一言だけ。

決して北朝鮮の核実験を肯定しているのではないから、そのつもりで読んでください。

日本は核爆弾を落とされた唯一の国であり、核兵器廃絶が国是となっている印象がある。
「二度と過ちは犯しませんから」という言葉を今更揶揄する気はないが、誰がどんな過ちを犯したのか不明なまま67年の年月が過ぎてしまった。

誰も核兵器廃絶を「国是」と公式に認めたものではないが、「戦勝国」5カ国以外は持っちゃダメ、という認識に日本を含めたNPT参加国は異を唱えてはいない。
ただし、その5カ国であっても核実験を行うと広島、長崎市長が核実験非難の声明は出している。
臨界前核実験についても同様である。
前回のアメリカの実験でも長崎、広島は非難声明を出している。
しかし、日本政府はアメリカの臨界前核実験については非難声明を出したことがないはずである。もしかしたら実験が始まった時期にはそういうことはあったのかもしれないが、ただいま資料が手元にないので後日調べておきます。

核兵器廃絶を主張するのであれば、臨界前であろうが実際の爆発実験だろうがどの国に対しても強い非難声明を出すべきだだと考えるが、そうはなっていない。
核廃絶は「日本も核兵器保有国に」と主張する目眩がするほどのことを言うオッサンがいたりするので、どうも「日本国民の意志」ではなくなったようであるが、もともと核廃絶なんて日本政府は望んじゃいない。

なぜなら日本はアメリカの核の傘の中に入れてもらっていて、安全保障条約により、いわゆる核抑止力の恩恵を受けていると考えている政治家がほとんどだからである。
核兵器で守られていないと世界はあまりにも物騒で、どこの誰がミサイルを日本にぶち込んでくるかわからない。だから、今はとっても安心、現実的には日本自身は核兵器を持ってはいないが、持っているのと同様の状況にあるからだよ、と影の声がガンガン響いてくる。

オバマ共和党でもかなり変わった発言を繰り返すヘーゲルを国防長官に据えて、核兵器廃絶に前のめりになっている姿勢を打ち出している。発言をそのまま受け取れば大幅な核兵器削減となるはずである。
さて、アメリカの核兵器に守られて核兵器廃絶を掲げていた矛盾の国、日本はどうするのだろうか。
北朝鮮核兵器をとうとうミサイルに積めるような技術を持ってしまったからには、またぞろ「日本も核兵器保有すべき」といういかれたオッサンたちが増えてしまうのだろうか。

核兵器を含む大量破壊兵器を絶対に持っていると決め付けられたイラクはいまだに自爆テロが頻発する国になってしまったが、北朝鮮にも同じことをしますか。

勇ましさが売りの安倍君は「敵国基地攻撃は自衛の範囲内」とオラオラやりだしているが、本当に皆様それでよろしいんですか。
私は嫌だからね。

日本は世界の核兵器問題についてイニシアティブをとって核兵器廃絶への道筋をつけるべきだ、という真っ当な議論もあったがどこかにすっ飛んでしまった。
まず、国内の議論の矛盾を整理して、主張するべきところをはっきりさせてくれないかね。
でも、そんなことを言う政党は全て駆逐されてしまったので、見込みはゼロか。

大倉は国際政治の複雑さを理解せずに理想論だけを口にしているという批判があればいくらでも叩いていただきたい。議論になっていないことが表に出てくるのであれば大歓迎である。

タルチョーと呼ばれるチベット仏教の祈祷旗。