讃岐うどん屋乱立

大倉は麺なら何でもいいんだろうと思い込んでいる人がいるが、基本的にはその通り。
何でも試してみたくなる。
しかし、食ったもの全てがうまいというほど舌がバカではない。

近所のショッピングモールにフードコートができた。
もともとちゃんとした値段で食べさせる飲食店がたくさん入っていたところに、千客万来のフードコート入れちゃったもんだから、競争激化で敗れ去っていくところもあるのではなかろうかと、普段そんな飲食店に行ったこともないのに心配している。

えーと、フードコートには色々あります。
ケンタ、韓国ごはん、博多親子丼、沖縄ごはんみたいなの、つけ麺、とかそんなものです。
ケンタは無性に食べたくなることが年に2回くらいあり、そのときは深く満足するんだけど何が何でもということにはならない。
そこにお決まりの讃岐うどんの店が一番入り口に近い場所に構えていて、客が奥に進む前にガッツリ掴んでしまっている。

10年くらい前までは讃岐うどんの店なんか東京ではなかなか見つけることもなかったのに、今ではチェーンの「讃岐」うどん屋が乱立していて、見つけるたびにイカげそを乗せてかけうどん(大)を食べているのだが、「お、これこそ讃岐の魂」といううどんに出会ったことがない。
私は香川県にうどんを食べるだけのために2回も行き、1日5杯は食ったのでめったなことでは騙されない。

まず、出汁が違う。
讃岐でも店によって味は違うが、基本は強烈ないりこ出汁である。
これがどういうわけか東京のものはえらく中途半端。
東京の人はいりこ出汁は嫌いかね。

麺の腰が砕けている。
これには三つの理由が上げられる。
1.もともと麺が腰を持つように打たれていない。一から修行しなおせ。
2.茹で方がへたくそ。この場合はどうしようもない。早く店を畳んでほしい。
3.客の誘導が下手。どこで客が滞るのか計算してカウンターを作っていない。うどんを出すのは速いのだが、勘定のところで頭の悪い客が「520円です」と言われてからおもむろに財布を取り出し、いちいち小銭を探したりしている。本来であればそういう客には「二度と来るな」とうどんを取り上げて追い払うべきなのにじっと我慢している。そうしている間に私の大盛りうどんはどんどん伸びていく。見ていてわかる。プリンとしていた麺から光沢が失われていく。
さらに店側のとんでもない間違いは、しょうが、天カス、ネギが極めて不安定な組み立て式の小さなテーブルに乗せてある。うどんのトレーがどこにも置けない。お母さんが無茶してかけ3杯をひとつのトレーに乗っけて、それでも薬味を入れようとするもんだから、そこにまた長ーい行列ができる。
私はいつになったらうどんを食べることができるのでしょうか。
先日は並びながら食べ始めそうになった。

そんなわけでフードコートのうどん屋は悲惨なことになっている。
讃岐でも茹で上げのものに当たる時と、茹で置きしているものが出てきてしまうことがあるが、あれは時の運。本日の運勢を占うようなものだから仕方がない。

ちゃんとやろう。
香川と東京では値段がまるで違うが、物価を考えれば致し方ないだろう。場所代も高いしな。
だから、少し高くても完璧なものを目指そうじゃないか。

私が一番好きな東京の讃岐うどん屋は渋谷の駅ビルの中にある「四國」である。
個人的には「ひやあつ」が一番「うどん!!!」という味を出している、と感じる。
他のものもどれもおいしいので是非試してみて。
ここのうどんがフードコートで食べられれば毎日通うんだけど。

根津に2軒、気になる讃岐うどん屋がある。
今度2軒を一度にやっつけてみようと思っている。

根津はいい町だね。