ゼロ・ダーク・サーティ

映画としては大変よくできている。本日公開。
実話を元にしていることから得られる細かな描写、リアルさが生きている。
もちろんスリリングであるし、歯噛みするようなシーンもある。

ハート・ロッカー」でアカデミー賞を受賞したキャサリン・ビグロー監督の作品。
オサマ・ビン・ラディンを他国の領土内で殺害するという事件を描いている。
映画の宣伝では若い女性分析官が事実上の指揮を執ったことが衝撃的、ということになっているが、正直そんなことはどうでもいい。アメリカという国がテロの首謀者とされている人間をパキスタンの領土内でテロ行為をもって殺害するということを堂々と映画にし、それがアカデミー賞の有力候補になっているということが衝撃的である。

ハート・ロッカー」はこれがオスカーを獲ったのか、「へー」という印象だったが、もしかすると今回もこの作品が攫っていくかもしれない。
「アルゴ」が有力との話もあるようだが、どちらにも共通項がある。

アメリカは常に正しい」のである。
在イラン米大使館人質事件もオサマ・ビン・ラディンの殺害も。

911についてはアルカイダも声明を出しているので、彼らが関わったことはほぼ間違いはないだろうが、あまりにもあの事件にはおかしなことが多すぎる。さまざまな数字が飛び交っているが、当のアメリカ人でさえ多くて40%、少なくて15%の人間が政府発表をそのままには受け入れられないと回答している。
日本ではこの話題に触れることはタブーとなっているが、アメリカ国内では公の場での議論も行われている。

もう少し解説すると、日本では大手マスコミは911テロについての疑惑についてほとんど報道しない。一言話すと干されてしまう。
しかし、実は2007年に民主党参議院議員藤田幸久氏が国会でこの事件に関する疑問につき質問を行っている。その様子はNHKでも放送された。しかし、藤田議員がテレビに呼ばれて、詳しく取材された形跡はない。
その国会でのやりとり、その他さまざまな活動家の発言がまとめられた本がある。藤田議員自身が編者となっている。
「9.11テロ疑惑国会追求」です。
ご興味のある方は是非。

9.11テロ疑惑国会追及―オバマ米国は変われるか

9.11テロ疑惑国会追及―オバマ米国は変われるか

この本におかしいと思われる点については詳細が記されているので、あえてここでは取り上げません。

ゼロ・ダーク・サーティ」を見ることを強くお勧めする。
もう一度あの事件について認識を新たにするいい機会だと思う。

2015年にはアメリカはアフガニスタンから完全撤退するとオバマ大統領が再度声明を出しているが、本当に引き上げられるのか。アルカイダタリバーンアメリカが作った組織である。敵の敵は味方の論理である。アメリカはソ連が撤退しても内戦が収まっても彼らをいいように動かせると信じていた。


そんな甘いことは世の中あるはずがない。
カルザイ大統領はアフガニスタンでは完全に信用を失っている。政府は腐敗にまみれている。
アメリカは一般庶民から毛嫌いされている。
しかし、これからどう国を作っていくのかめどはまったく立っていない。

アフガニスタンに何度も訪れている友人のイスラム研究者がビザ申請をしたところ今回はビザが取れなかったそうである。それくらい事態は緊迫してきている。
ビン・ラディン殺害では何も変わっていないのである。