天使の分け前

スコットランドに再び火がついている。
「やっぱ、独立だ!」と鼻息荒い。
スコットランド人のイングランド人に対しての思いは複雑である。
こういう場合大概悪いのはイングランドなんだけど、なかなか恩讐は超えられないもんだ。
しかし、独立してやって行けるのかどうか。その辺りはなかなか微妙なところであります。

酒の好みで生き様も変わる。
イングランドじゃほとんどウイスキーは飲まない。
ロンドンのホテルのバーに行ってもスコッチの数は限られていて、「ロンドンに行ったらいろんなウイスキーを試すんだ」という物事を知らない人はがっかりしてしまう。飲むんならスコットランドを目指せ。ちゃんとスコッチって書いてあるでしょうが。

スコッットランドはいいよー。
男は全員プロレスラーのような体格だし、女性は特に美人でもないし、地球とは思えないようなぺんぺん草もはえないような場所を車で飛ばすと、宇宙の神秘を感じるぜ。
特にグラスゴーエジンバラのような都会を避けて、インバネス(東北弁のように発音するのが正しい。昔は日本人の男はインバネスという真っ黒な袖無しの外套をよく身にまとっていたらしい。私も着てみたい)から北西に進むとそこはもう別世界。
雄々しくも寂寞たる光景の中に、時々小さな村が時々現れて、そこにはウイスキーの蒸留所がある。
もちろん貯蔵もしているから、アポなしで押し掛けてもよく来たという感じで試飲させてくれるよ。
ストレートに少しだけ水を垂らして飲むのが正しい。
氷なんか入れたら怒られるよ。
ウイスキーは香りを楽しむんだから。

そのくらいウイスキーの香り、味は千差万別である。
私はピート臭がそんなに強くないのが好きだな。
オーバンやスプリングバンクあたりか。

さて、この映画は社会派で知られるケン・ローチ監督が作った最高のコメディであり、ウイスキーの話であり、スコットランド人の荒っぽさと繊細さや優しさを見事にブレンドした大ヒット作である。
「大倉の紹介する映画はよくわからん」と怒られたりすることがあるが、これは絶対に「ありがとう。紹介してくれて」と言ってもらえる自信がある。面白かったら一杯おごりなさいよ。

以前書いたが、銀座テアトルシネマも閉館してしまう。
クロージング作品にこれを選んだのはやっぱり見る目があると思いました。
本日公開です。

ベトナムにもメコンというウイスキーがあるが、私はあまり好まない。