クールジャパンってのがよくわからない

タイトル通りなんだけど、どうもこのクールジャパンという言葉を聞くと「やめてよ〜」って気持ちが悪くなってしまう。これには知り合いが何人か関係しているのであまりごちゃごちゃ言うのはやめようと思ってたんだけど、なんかさー、「秋元康氏が推進会議で『日本人の優秀なクリエーターに一肌脱いでもらうべきだ』と発言して、ポスター、キャッチフレーズ作りに無報酬での協力を求めるよう提案」という記事を読んで、ますます薄気味悪くなってしまった。
報道は得てして、一言だけ抜いて「秋元さんにも困ったもんだ」的な論調にするんでまともに相手にしてはいけないが、何かしらそれに関したことを言ったんでしょう。

私が気持ち悪いのは「ポスター、キャッチフレーズを作る」というところです。
「ただで作らせるとはどういうことだ」と怒っている人もいるけれど、「いいよ」って言う人がいるんならいいんじゃないの。それで一発名前を挙げたいって人もいるでしょう。でもこの人はクールジャパン自体には疑義を持っていないらしいのね。
私はそんなこと行政主導で何やるんだか、って立場なので論点が違います。

クールジャパンを無理矢理日本語に訳すと「格好いい日本」ということらしい。
そもそもその「格好いい日本」ってのがとても恥ずかしい。
日本が恥ずかしいと申しているわけではありません。恥ずかしくて外国に行かせたくない政治家はたくさんいるけど。
で、「格好いい日本」だぜ、というポスターを作るというのはどういうことなの?
どこに貼るんでしょうか。それって私が「大倉、メチャすげー」ってポスターを駅貼りポスター枠を買って、胸張ってるて感じのことでしょ。オラ、恥ずかしくて町歩けねーよ。

日本政府観光局(というものがあるのかどうか知らないが)、だいたいそういう名前でどの国にも観光誘致を担当する部署がある。「日本に来てね、楽しいよ、お金使ってちょうだい」というのはよくわかる。観光で成り立っている国はたくさんある。そういう国としての生き方があってもいいんじゃないの。
日本も円安になると楽に過ごせますよ。牛丼食べてってよ。「安い。うまい。はやい。」だ。あんなにはやいのはインドの路地で食べる辛くないカレーくらいのもんだ。

さらに推進会議では角川歴彦氏が「日本製アニメの影響を受けた海外のいわゆる「オタク」を教師に起用して『シンガポールインドネシアなどにクールジャパンを教える学校を10校程度設立するべきだ』」ともおっしゃっている。ずいぶん具体的だよ。外国人のオタクを雇ってクールジャパンについて何教えんの。恐ろしい授業が行われそうな気がするんだけど。

裏千家千宗室氏は「茶道を学んでいる学生を海外に派遣してはどうか」と提言したそうだけど、そんなことは自分のお金でやんなさいよ。
クールジャパンの定義がよくわからないんだけど、小さな家でどう暮らすか、とか、デフレ克服のために老人に金を使わせよう、とか、就活は4月から、とか、そんなことも含まれるんだろうか。どれもある意味文化だよね。
これは胸を張りたい文化、これは隠しとかなきゃいけない文化って基準を設けるのかな。
誰が決めんだろ。
AKBはきっと胸張って「オラオラオラオラ」ってやっていい文化なんだろうな。

この推進会議での議事録は以下のアドレスで読めます。
http://getnews.jp/archives/319134

小学校の学級会みたいで爆笑もんですよ。
ちなみに平成25年のクールジャパン関連予算は約173億円。

さらにクールジャパン推進会議にはポップカルチャーに関する分科会ってのもあるのよ。
私が不勉強な故に知っている名前は映画監督の河瀬直美氏しかいないんだけど、そうか、河瀬直美ポップカルチャーの担い手なのかと驚いちゃった。

えーっと、申し上げたいのは余計なことしなくても評価されるものは、既にそうなってますよ。そうなってないものでも皆さん自分のやりたいことを積極的に発信したり、事業を興したりしてどんどん駒を進めてますよ、ということです。
イギリスで1980年に創刊されたとんがったカルチャー誌、iD Magazineでは早くから日本のストリートファッション、文化についてはガンガン取り上げられていましたよ。ロンドンでうどん屋始めて、大成功した若い友人もいますよ。

実際にどういう風にお金が使われるのかわかりませんが、つまらん学級会で既に「カックイイ!」と評価されているものの邪魔だけはしないでいただきたいんだけど。

貼付けた動画はフランスの教会で聖歌隊が「千と千尋の神隠し」の主題歌をクールジャパン推進会議とは何の関係もなく歌って、大喝采を浴びているものです。
撮影状態はあまりよろしくないが、おじさんは感動しました。