じゃないですか〜

先日から「私って〜じゃないですか〜」という言葉遣いに対して激しくお怒りになっている友人がいる。
「私って甘えん坊じゃないですか〜」
「私って豚骨ラーメン嫌いじゃないですか〜」
「私ってみんなから愛されてるじゃないですか〜」
って俺の前で言ってみろ、ぶん殴る、くらい鼻息が荒い。
ホント、ホント。
「お前のそんなことなんで俺が知ってなきゃいけねーんだよ」と私も蹴飛ばすと思います。

最近使われなくなったが、私にはもっと嫌いな言葉遣いがあった。
「俺ってもやし大好き人間だって知ってた?」
この場合は、お前は「もやし大好き人間」という民族か?というわけのわからない腹立たしさと、そんなこと俺が知ってるわけないじゃん、という正当な怒りである。
○○大好き人間ってずいぶんはやったんだけど、このところ使う奴いなくなったな。
どこかに隠れてるんだろうから出てきてくんないかな。
一生「もやし大好き人間野郎」って呼んでやるからさ。

「〜的な」もおかしいね。
これは間違いなく広告代理店が発祥の地です。
「俺的にはここは豚だと思うんだけど、J-WAVE的にはやっぱ牛なの」とかいう会話がよくあったな。

そんなことを思い出していたら、最近は「〜感」がはやっているらしい。
「閉塞感」とかいう使われ方じゃなくて、「費用感」とか、「料金感」とかいう具合に使うらしい。
「ざっと費用を見積もってもらえますか」というところを「費用感」ですませるらしい、と想像している。
この「感」の曖昧な感じが心地いいんだろうな。
「あれはあくまで費用感のことを聞いただけで、交渉じゃないですよ」と逃げが打てるもんな。
「大倉さん、『〜感』も間違いなく代理店発ですよ。調べてください」と怒られることがあるが、私はもう広告の仕事一切してないし、そんな言葉聞いたこともないし、使ったこともないからわからないんですよ。ごめんなさい。

マスコミの仕事はギャラの話が仕事の後に行われることが非常に多い。
私はそんなの嫌なので、自分が支払う立場のときは、「全然金がない。これでお願いできないか」とお話しするよう心がけている。受け取る場合もちゃんとした会社は先にギャラのことを話してくれる。「安いなあ」と思っても最初に約束しておけば、納得して仕事ができる。

ダメな会社は黙っていると、ギャラのことは仕事が終わってから「あれ、うん万円で請求書ちょうだい」といきなり交渉抜きで話をつけられることがある。特に個人は甘く見られる。

そのうち「俺ってギャラ感的には安いの大好き人間だって知ってた?」といい始める馬鹿が出てくるんじゃないかと心配している。

これはギャラの話が先にあって取材に行った場所の写真。
カールツフェルド、ドイツ。