俺を誰だと思ってんだ

俺とは言わなかったようですが、一時はアメリカで最高のギャラを取ると噂された映画女優リース・ウィザースプーンが「私の名前を知らないのか!」と叫び、あーだこーだ警官にいちゃもんつけて逮捕されたそうでございます。
亭主が飲酒運転の疑いで車を止められ、アルコール検査を受けている間、車内にいなきゃいけないのに制止を振り切り外に出て「あんた、全国ニュースになるわよ」と予言し、その予言が現実と化したわけである。予言者ウィザースプーンである。

亭主はガッツリ酒飲んでいたことがばれて逮捕。彼女も治安を乱したということで逮捕。めでたしめでたし、に聞こえるけど、日本じゃなかなか考えにくい逮捕劇ですな。酔っぱらいが警官に絡んで「俺を誰だと思ってんだよー」とネチネチやっているのはテレビで見る限りは当たり前の光景で、あれをいちいち逮捕してたら留置場は酔っぱらいで一杯になってしまう。
日本の警察は私によく職務質問をかけてくるので、あまり私の好みではないが、アメリカよりましかも。

アメリカで黄色人種の私がへべれけになって、警官に向かって「FXXX YXX!」とか怒鳴り散らして突進したらまず拳銃抜かれるな。下手すりゃ撃たれてる。せめて公務執行妨害くらいで「だめだよ、そんな酔っぱらっちゃ。お父さん家どこなの?」と一泊させてくれればいいんだけど、それじゃすまん。

大昔の話になるが、ニューヨークに赴任していた私の友人が帰りが遅くなったんで、マンハッタンのホテルに泊まった。部屋に入っても飲み続けていたらしい。朝気が付くと、素っ裸で自分のものが何一つ置いてない部屋で寝ていた。パンツも服もカバンもなーんにもない。どうも気を失ったまま理由は不明だが裸になって部屋を飛び出し、片っ端から他の部屋のノブをまわしていったものと思われる。
普通自動ロックなんで外からは開かないんだけど、たまたま開いちゃった部屋があったのね。
自分の部屋の鍵も持ってないんだから、どの部屋に泊まっていたのかもわからないし、わかったとしてもタオルを巻いて部屋に戻るわけにもいかんだろう、ということで、仕方なくフロントに電話して事情を説明し、帰してもらったという。
ホテルからはメチャクチャ怒られ、2度と来んな、と追い出されたことは言うまでもない。
「あーた、深夜に裸の日本人がベロベロになって廊下うろついてたら撃たれても文句言えんよ」という私の説教に、「いやー、ホント危なかった」と反省していたが、普段から酒乱の気があったのでその後もやらかしていたかもしれない。
ちなみにこの人は代理店の人間ではなくメディアの方です。

よく日本映画で悪者の政治家が「俺を誰だと思ってんだ」と威張る場面があるが、本当にそんなこと言う阿呆いるのかしら。
いたら面白いな。「タコじゃねーの」と言ってやろうと楽しみにしています。

私は外国でそんなことになったことはない、と思ったらあった。
それはまたの機会に。

旅の最中は朝が早いんで、せいぜいビールを飲むくらい。
昨日に引き続き、ネパール、ナガルコットの夜明け。