不可解なボストン爆弾テロ事件

どうにも解せない、と一人で唸っていたら、田中宇(さかい)氏が「田中宇の国際ニュース解説」で「ボストン爆弾テロの深層」という記事を書いていた。

ここで転載することはできないので、田中氏が参考にしたイギリスの高級ニュース紙を読んで、かいつまんで話を整理したい。

日本では容疑者兄弟はたびたび父母の住んでいるロシアのダゲスタン共和国に帰っていたこと、兄がかなりイスラム過激派に傾倒していたこと、ロシア当局がアメリカ当局に警告していたこと、また、FBIが何度も兄に事情聴取をしていたことまでは報道されている。
おそらく多くの日本人はFBIは阿呆だな、と感じただろうが、それ以上のことは材料もないので、不審に思わなかったのではなかろうか。私もこの記事を読むまでは「おかしいけど、FBIってその程度のもんか」と納得していた。

イギリスでは多くのマスコミがロシアに住む兄弟の両親に電話取材をしており、その応対を一様に報じている。

イギリスのすべての新聞を読むのは面倒なので、テレグラフの記事を参考にするが、他にもインディペンデント、デイリーメール、またテレビのチャンネル4も同様の内容を報じている。

ポイントはふたつ。
兄は月曜の事件後の水曜(この時点ではFBIは兄弟を指名手配していない)ダゲスタンに住む父母に電話をかけている。
やり取りは父母によれば以下の通り。

爆弾事件発生直後、FBIが兄に電話をしてきて「お前に責任がある」と非難した。
"FBI had already called him to accuse him of being responsible"
また、兄はその電話に対して「それはそっちの問題だろう」と答えた。
"That's your problem"

この件につきFBIはコメントすることを拒否している。

わけの分からない会話を父母がでっち上げるとは考えにくい。
FBIのコメント拒否はそれを裏付けるものとも思える。

もうひとつは、事件発生直後にFBIは兄を責めているのに、容疑者を指名手配するまで4日かかっている。非難の電話を受けてからも兄弟は呑気にツイッターに書き込みまでしている。まるで容疑者にされるとは思っていなかった、という行動である。
アメリカでもFBIはその「怠慢」を非難されているが、これをただの怠慢ととらえることができるのか。

この兄弟による「テロ事件」は謎を残したまま、けりがつけられてしまいそうな様子である。
納得がいかない人間は「陰謀が大好きなおかしなやつ」ということにされてしまうのだろうか。

日本のメディアでこの父母と兄の応対について報じたのは田中氏だけである。
イギリスで騒ぎになっているのに日本で全く取り上げられていないことに底知れぬ不気味さを感じる。