図書館戦争

やっぱり家でただじっとしているのもなんだな、ということになり、女性と映画を観に行くことにした。
ま、娘なんだけど。

この有川浩の原作は娘が夢中で読んでいたときに、横から手を出してチラッと斜め読みするつもりだったのが、ライトノベルなのに夢中になってあっという間に全巻読破してしまい、「BOOK BAR」でも紹介したいわくつきの小説である。本を検閲から守り、どのような内容であろうとも命をかけて本を焼かせないという図書隊の活躍と、ちょっと私の乙女心をくすぐる心躍る恋のお話なんかも挿入されていて、面白くない、と言う人間は面白くない奴だなあ、と思うくらい面白い。
自動小銃まで撃ちまくっちゃうのかね、と普段の私なら「どうなの?」と思うところもあるが、この作品だけは許しちゃう。
専守防衛で威嚇射撃しか許可されていないからな。

図書館戦争

図書館戦争

一水会(民族・右翼運動の団体)代表で現在は顧問をしつつ様々な言論活動をしている鈴木邦男が最近出版した「秘めてこそ力」の帯にはヴォルテールの言葉が大きくレイアウトされている。
「君の意見には反対だが、それを言う権利は命にかえても守る」
鈴木邦男はそういう人間である。
新大久保で「朝鮮人は皆殺しだ」と集団になって叫ぶ頭すっからかんのものども、ちゃんとこの本読んどけよ。
本のあとがきでも彼は竹中労の言葉を借りている「人は弱いから群れるのではない。群れるから弱くなるのだ」、そして「まさにその通りだ。要は、個人の覚悟だ。個人の秘めた力だ」と結んでいる。今の日本は「愛国心の大声コンテスト」で、勇ましいことだけを言う「愛国者」は、偽物であると喝破している。
秘めてこそ力 (ネプチューンノンフィクションシリーズ)

秘めてこそ力 (ネプチューンノンフィクションシリーズ)

私は「愛国心」と声高に叫ぶ人間を目にすると「図書館戦争」の「メディア良化委員会」を連想してしまう。自分の信じている価値以外のものを受容することのできない情けない連中である。
この小説、映画では社会に害毒を流すとされるメディアはすべて焼き払われる。
図書館戦争」が現実の世界だとしたら、本一冊しか出してないんだけど、俺なんか一発でアウトだな。ブログも強制終了だ。
戦うぞ。連帯を求めて孤立を恐れずだ。

そんな話をしながら娘と映画館に向かったわけではなくて、「岡田君、最高!」と繰り返す娘に従い、おじさんもウキウキしながら席に着いた。ちなみに娘は岡田准一さんのことをなぜか「岡田君」と呼ぶ。「岡田君にお姫様抱っこされたら、気絶する」と公言するほどのファンである。私も真木よう子と同じくらい岡田君のことが好きだ。お姫様抱っこしてほしい。真木よう子はお姫様抱っこをしてみたい。
岡田君もJ-WAVEで番組やってんだから一度くらい会わせてくんないかな。
よろしくお願いします。

映画が始まって、すぐに右目がやけに湿っぽい。
どうしたんだろう、と涙を拭うのだけど、どうにも止まらない。おかしな病気にかかちゃったかな、と娘を横目で見たら私よりも派手に手で顔面を拭いまくっている。
あら、我々は同じ本を読んで感動して、岡田君が好きで、映画館に飛び込んだんだった。ということは私も泣いてるってことか?
私はさすがに岡田君を見ただけで泣き始めることはないんだけど、本がダーンと並べてあったり、その本を粗末に扱ったり、燃やされたりするシーンを見ると涙が出てくるようである。
何がメディア良化委員会だ。絶対に潰してやると心に誓った。
娘はどんなシーンでも最後までずっと泣いていたようでありました。

本と岡田君を大事にしような。

私は旅の最中に疲れ果てたり、一日中土砂降りだったりすると、ちょっとほっとして、ずーっと本を読んでいる。

香港からマカオに向かう船中から。雨期に行ったので結構往生しました。