ジャッキー・コーガン

本当はわかりやすくて、それなりに納得感のある「L.A.ギャング・ストーリー」の話にしようと思ってたんだけど、「ジャッキー・コーガン」のレビューを見てみたら、あんまりひどいことになっているんで、ここはやはり弱きを助けなきゃと殺し屋の味方をすることにした。

レビューを書いている方々のご意見をまとめると、「誰にも感情移入できない」「嫌な奴しか出てこない」「ダラダラしている」とこんな感じにまとめられます。
全部その通り。
ネットリと全身に汚臭がまとわりついてくるようなイヤーな気分になることを保証します。
私も「うげげげげ」と言いながら映画館を出てきました。

バックにはバラク・オバマの演説が流れていて、それもある意味メッセージがありそうで鬱陶しい。
主人公の殺し屋は意外に細かいことにこだわり、それも計算が狂ったりする。
「パンパンパンパンと行こうよ、殺し屋なんだから」と声をかけたくなる。
正義の味方のはずのOO7やダイハードのハゲ親父の方が、ためらいなく悪い奴らを殺してるぜ。
こっちだってどうせ殺すのは悪い奴らなんだから、思い切りよく行こうぜ、なんだけど、このジメジメした空気感の中にリアリティがある。

そんなに物事がうまく進むわけがない。
「え?」とか「あれ?」てことで人生は構成されているんだよ。
そこを普通の活劇ものは中央突破ででたらめやるんだけど、この映画ではそのうまく行かないことばかりを追いかけている。
その中央突破がいかにインチキ臭いものかにこの映画は気づかせてくれる。

このダメダメさをじっくり味わってほしいなあ。
見終わったときに気分の良さだけを求める人には向かないけど、コーエン兄弟デヴィッド・リンチ監督が好きな人は好みだと思いますよ。「優しく殺すんだ」という予告編見て、「なーんだ」と思い、劇場に行っていない皆さん、損はない。是非ものでございます。

最後に怒りを爆発させるブラッドピットが吐くセリフが秀逸です。
しっかり味わってください。

最終的にはどちらの映画を選ぶかはあなたした次第です。
どちらも見ない人もたくさんいそうですね。

下関。どちらの道を選んでもあまり違いはありません。