暑いロンドン

別に選挙で熱くなっているわけじゃない。
暑いんです。

私が行った5月下旬はトホホの寒さで、例年ならば「ああ、最高、公園でワイン飲みながら飯を食おう」なんてことも大昔はあったのだが、もう寒くて寒くてトラファルガー広場で凍死するかと思った。
ナショナル・ギャラリーに行こうと思ったのだが、ちょうどその日UEFAチャンピオンズリーグの決勝がロンドンで行われることになっていて、ドイツのドルトムントバイエルンが何故かイギリスの地で雌雄を決するというトンマなことになっており、どういうわけかトラファルガー広場ドルトムントのサポーターで埋め尽くされていた。

バイエルンのサポーターも見かけるんだけど、まとまってない。どこに隠れていたのだろうか。
あんまりドルトムントのサポーターが嬉しそうにしていたので、サッカーの知識ゼロの私はドルトムントが勝ったんだとばかり思っていた。
そしたらその日の夜が試合で、ドルトムント負けてやんの。
どうでもいいや。

とにかく、あまりの騒ぎにカメラを持って群衆をかき分けパチリパチリとやっていた。
しかし、異様に寒い。
朝の天気予報では最高気温が6度とかふざけたこと言ってたけど、当たってんじゃないの。
サポーター達は酒が入って何かというと大声を上げるので、全然体を震わせているやつなんかいない。
そもそも、あの方々は寒さを感じない体の作りになっている。
真冬でも新鮮な空気がないと寝られないと、窓を開けて寝るんだもん。

ところがここに来て、猛暑となったとイギリスでは大変な騒ぎになっている。
新聞でこの夏はずーっとすごーく暑い、と一面トップで報じているくらいだから半端ではない。
しかし、本当かな、暑いのには弱い連中だから大げさに騒ぎすぎてんじゃねーの、とイギリスの友人に昨日メールで状況を聞いてみたところ、ちゃんと返事が返ってきていた。

私なりの意訳でございます。
「えーとね、今日は約31度まで上がるって言ってる。で、この2週間雨が降ってないよ。これがシリアスな状態なのか、ただ経験ないくらいいい天気が続いているのかは難しい判断になるな。もちろん天気のことを話し始めるとそれだけで1時間持たせるイギリス人だから、もうみんなブイブイ怒ってるぜ。このままだと旱魃になるとかさ。去年は大雨で洪水にまでなったのにな。
M25(ロンドンを囲む環状高速道路)は閉鎖になったぜ。道の表面が溶けちゃったからさ。ウォータールー駅じゃ熱でレールが曲がっちゃうし、混乱の極み。
予想される限りの長期天気予報じゃこのままどえらく暑いままだって。
そんな調子だから、人に会えば天気の話はさらに長くなっている今日この頃だ」

というわけで、31度程度でみんなヒーヒー言っているらしい。
私がいたときも一度暑い夏があったんだけど、あのときも道路が溶けてたな。
学ばない連中だ。

イギリスでは滅多にエアコンを見ることはない。
全面ガラス張りのモダンなビルにも設置されていないので中は蒸し焼き状態ってこともあった。
車にもないな。
私のには珍しく付いていたので暑い日は車の中で過ごしてました。

イギリス人の天気話にはあきれる、まず電話でも「そっちの天気はどうだい」から始める。
このメールを返してくれたピーターも現役で広告会社を経営していたとき、スイスの得意先に「天気はいかがですか」と聞いて、「それが仕事となんか関係あるのか」と怒られたことがある。隣で聞いてたから知っている。

少し気の毒だが、日頃は「日差しが欲しーい」とお祈りしてんだから、裸になって楽しんではいかがか。
ロンドンの公園ではこのくらい暑くなるとトップレスの女性がよく出現します。
興味のある方は今すぐロンドンに急げ。

負けるとも知らずに上機嫌で騒いでいるドルトムントのサポーター。