東京湾花火大会

今日は東京湾花火大会。
豊洲周辺は毎年午後あたりから大変な騒ぎとなる。
私の勝手な思い込みかもしれないが、隅田川花火大会は老若男女皆がすし詰めで移動しながら空を眺めるという危険きわまりない現場となるのだが、豊洲って若いお嬢さんや小汚いお兄さんが浴衣姿で連れ立って幸せな気分になってるような気がします。

ただ、その近くに住んでいるものといたしましては大変に鬱陶しい。
私の住んでいるマンションは東京湾に向かってバルコニーが作られているのに、海近くに乱立したマンションのおかげで音だけは派手に聞こえるんだけど、全く花火は見えない。
だったら歩いて出かけるかと一瞬思うが、あまりの人で気持ちが悪くなるので近寄らないことにしている。

本当は花火大会大好きなんだけど、東京では何かがあるとすぐに人がどこからか湧いてくるんで、それだけで出かける気にならないんす。花火見たいな。「おー」とか言いたいな。「たーまやー」とかは恥ずかしくて言えない。
下関じゃそんなこと言う人おらんかったけーね。

今夜もまた心が乱れる一夜になるな。

小学生のときに近所のガキが集まって親からくすねた金で大量の花火を買ってきて、一晩中花火やろうやー、ということになり、暗くなってガキの輪の中心に買ってきた花火を全部山のように積んで、「少しずつ楽しみながらやろうやー」と余裕ぶっこいて、まずは定番の線香花火から静かな花火大会を楽しみ始めた矢先、いきなり花火の山が爆発した。
すべての花火が一瞬のうちに消えてしまった。
誰だかわからないが、線香花火の火玉を山の上に落としやがった。
全員呆然として声も出なかった。
死人が出なかったのが不思議だよ。
やけどをしたやつもいなかったし。
奇跡だな。

落ち着いてきてようやく誰かが口を開いた。
「怪我人が出んかっただけでもえかったのー」なんてことを田舎のガキが言うはずがない。

「誰が火つけたんか。山の上に火を落とすバカがおるか」
「誰か」
「わしやない」
「しんちゃんが山の近くでやりよった」
「わしはちゃんと自分のを見てやりよった」
「たけしちゃんやないんかね」
「ぶっ殺すど」
陰険なムードは花火の爆発に近いほどまで高まってきてしまった。

そもそも花火の山を囲んで、火をつけること自体間違っている、というよりも非常識である。
最近の良い子たちはそんなことしないと思うけど、真似しないようにね。
死ぬかもしれんよ。

高校生になっても同じようなことをやっていた。
バンドのメンバーと仲の良かった友人たちと昼も夜も人気のない貯水場に行って、花火合戦をやった。
始めは全員で中国製の派手な花火を愛でていたのだが、だんだん飽きてくる。
単純な打ち上げ花火が大量に余る。
横打を始めた。
始めは冗談のつもりで、相手を狙わず、ただビックリさせてやろうという程度なんだけど、こういうのってそれだけじゃ終わらんのよ。だんだんムキになって本気で狙い始める。
「痛ったー!、やめんかい」
「誰がやめるか」
二手に分かれて戦争となる。
犯罪だろこれは。
とうとう誰かが放った花火が相手方の顔面に命中してしまった。
もともと気は弱いので、「アガッ」と言ったきり顔を押さえてうずくまってしまった奴に駆けより「大丈夫かね」。
目を直撃していたら失明していたかもしれない。
「いけん、これは危ない。やめんにゃいけん」
最初からわかってたろうがそんなこと。

バカな下関の高校生に花火を持たせてはいけない。

バカなことしか覚えていない私であります。

こんなガキたちと一緒に花火がしてみたい。
私も大人になりました。
多分ネパール。場所が特定できません。