法廷民営化

もう2ヵ月以上も前の話。
先日ロンドンで何がなんだかわからない新聞記事を見つけてその場で手でビリビリ破いて持って帰った。
どこにしまったんだかわからなくなって、あきらめかけていたら昨日ひょっこり出てきた。

ほとんどの新聞で報じられていたのだが、5月28日のThe Timesでは見出しが「急進的法務改革により法廷が民営化へ」とあった。もちろん一面トップ。
どうなっちゃってんのと読んでも、エイプリル・フールかという内容なんだけど、真面目な話らしい。
これはイギリス全体のことではなくてイングランドウェールズで計画されていることのようだけど、これって、あり?なし?
民営化というからには本当の民営化のつもりのようで、裁判所のビル、2万人のスタッフはすべて民間企業に移されて、財務省のコントロールから離れてしまうということだそうでございます。

これが実現すればマグナカルタからの伝統を一気にちゃぶ台ひっくり返しということになる。
そんなー、ポンドはポンドでユーロになるはずがないと意固地になっていた国がそれやるかね。
しかし、記事を読めば極めて真面目な話らしい。
この民営化で法務省は1500億円の金が浮くらしい。
しかし、法廷を持たない法務省ってなんなんだろうか。

疑問は法廷が民営化されたとして、どうやって金を稼ぐかである。
賢明な皆様もそう思ったはず。
これがまた不思議な話なんだけど、裕福な被告からドッチャリ手数料を取ろうぜ、ということらしいんですがな。
で、有罪になった際にはさらにごつい金がとれると踏んでいるっていうから、いいもうけ話でんな、ということでヘッジファンドに「すごいリターンの投資話がありまっせ」と金を集めさせるつもりらしい。

当然、効率化が図られるわけで、法廷の合併?と80から100の法廷はなくしちゃうことも計画のうち。
当局はマスタープランについては「秘密」にしているらしい。
事前には3月に法務大臣が議会へ「改革考えてんだけどさ」と声明を出したきりだっていうから驚いちゃわないすか。

これだけじゃなくて刑務所維持に大変な金がかかってるんでそれも考えなきゃいかん、と息は荒い。

もちろん、猛反対している方々もいるんだけど、記事の内容だとそんなもん知ったこっちゃないってな調子のようであります。

アメリカじゃ既に民営化された刑務所は存在するし、表立って言ってはいないが、民営化された軍隊もちゃんと存在している。
でも、民営化された法廷って聞いたことがないんだけど、私が不勉強なだけかしら、本当にやるのかしら。
その後のことをいくら調べても新聞報道にはなっていないようで出てこない。
着々と計画は進んでいるんでしょうか。

あまりにも唐突な話でどう反応すればいいのかわからなくなってんだけど、やっぱり「マジですか」というところから頭が回らない。
私の頭の中ではあり得ないことなんだけど、いかがでしょう。

関係ないけどピカデリーサーカスにあるエロスの像。
私がいたときはいつも工事中だった気がするんで、初めて見たような錯覚を起こしましたが、ちゃんと記憶にありました。