線香花火
夏も終わるね、涼しくなったよ。
なんておセンチになっているといきなり猛暑に襲われることもありますから気を引き締めていこうぜ。
今年の夏も花火しなかったし、花火大会にも行かなかった。
娘がそういうことを望まなくなってしまったからだ。
花火やりたいな。
ガキの頃は中国製の「これヤバいんじゃないの?」ってくらい勢いのあるのが好きだったんだけど、歳を取ると線香花火のことを思い出すから不思議だ。
しんみりと「ああ、綺麗だな」なんて一人でも二人でもいいんだけど、つぶやいたりして。
二人だとおかしな雰囲気になったりするのかしら。
もはや私には関係ないか。
東京に出てきて花火をやったのがいつだったのか、誰と一緒だったのか全く記憶にないんだけど、ひとつだけ鮮明に覚えていることがある。
「線香花火やろうぜ」と持ち出されて、「これはなに?なんかの冗談か?」と思ったこと。
どこが線香だよ、紙に包まれてやたら長い紐のようなものが線香に見えるか?
東京の人にはこれが線香に見えているのか、東京の線香がこんな形をしているのか疑問が頭の中ではち切れそうだわ。
線香が紙でできてるわけないでしょ。
ふにゃふにゃしてたら線香立てられないじゃん。
火をつけたら火花は確かに記憶にある線香花火と同じ。
餅の形状と同じことなのか、うどん出汁の違いと一致しているのか。
西と東の断絶はひとつの民族対立の火種になりかねんな。
西日本、下関の線香花火は極細の藁の先に黒色火薬がむき出しになってくっついているんですよ。
わらも細いんだけど、ちゃんとした強度を持っているんでそれを線香に見立てたんですがな。
これですよ。
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この形の線香花火の一番楽しいところは火玉が一番大きくなってバチバチ火花が広がっているところじゃなくて、その終末期に小さな流れ星のようなかすれた火花がまだ飛んでいるときに、筒状になっている藁の上をそっと口に含んで、優しく息を送ってやる時でございます。
細くなった火花が一瞬ふわっと大きくなって、スッと消えて行くのよ。
「こんな人生もいいな」とガキが思うわけないんだけど、その美しさは鼻垂らしたやつでもわかる。
西で育った人間はそんな美学を線香花火から学んだんだな。
西の線香花火は「すぼ手」と呼ばれます。
「すぼ」とは「藁などにて、包みに作りたるもの」。
東の線香花火は「長手」です。
申し訳ないが、線香花火の歴史は西から作られています。
「元々、最初に稲作が盛んだった関西ですぼ手が作られ、公家の遊びとして用いられた。公家の間では現代のように手に持つものではなく香炉の灰に立てて鑑賞していた。やがて江戸にも広がるが、江戸では藁が手に入りにくかったため、すぼ手が発売されてから数年後に藁の代わりに和紙を使った長手が作られ、今に至る」んですよ。
公家の遊びってのが気にくわないけど、騙されやすい私はウィキを信じて引用いたしました。
違っていないと思うけど、万が一の場合はウィキのせいということでお願いします。
西の方は長手を見たことがない人も多いと思います。
こんなんです。
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娘がすぼ手を見たことがないというので、今度買ってきます。
ここは実家近くの円光寺。
こんなところで花火やったらぶん殴られていたので、こんな感じのところでやりました、ということです。