悪いやつら

映画です。
今、まさにシリアにミサイルをぶち込もうとしている連中の話ではありません。
あいつらの方がよほど危ないんだけど。

韓国映画の骨の太さ、厚い俳優層、監督の異常とも思える情熱については何度もここで書いているが、上映館が増えないんだよね。嫌韓感情の高まりのせいかと邪推したがそれは関係ないみたい。

韓国のものは連続ドラマが面白い、特に恋愛・歴史物という刷り込みがされてしまって、お金払って韓国映画を観に行くのはちょっと、と思っている皆様。あんたたちは大変な勘違いをしている。
よくわかんないチャラい恋愛映画がかかっていることがあるが、あれはあれで間違って入ちゃった人は、とても綺麗な女優さんを好きになっちゃえばいい。
イケメンの出る映画はおばちゃんたちで一杯。

そんな映画も悪くないんだが、韓国映画で一番痺れるのは犯罪もの。
暴力でしか自分を表現できない男たちの悲しみがスクリーンから染み出てくる。
だから暴力シーンが苦手な人にはあえて勧めはしません。
なんせリアルだから。

「悪いやつら」には悪いやつらがたくさん出てくる。
そんなに悪いやつじゃないんじゃないの、と思っていても必ず悪くなる。
「シ、バ、ラ、マ!」と怒っているときは必ず出てくるセリフがある。
ちゃんとした意味はわからないんだけど、あんまりたくさんそのセリフが多いんで、5年くらい前から日本でも危うく「ちくしょー」とか「ぶっ殺してやる」とか「許せねー」って時に口に出そうになってしまっている。
この映画でも何度か出てきた。

下関で育った私なので、「タンベ」とか「チャング」とかいう言葉は割に普段から使っていたので抵抗がないね。

この映画では警官、公務員が闇の世界と癒着し、もちつもたれつの関係でうまく均衡を保っていたときに、1990年、ノ・テウ大統領が「犯罪との戦争」を宣言し、腐敗一掃に舵を切り、それが一因で起こる一連の顛末劇が描かれている。
裏切りは当たり前、「真面目に」悪くやってると潰されてしまう。

痺れるー。
舞台は釜山。
下関からは関釜フェリーで一直線。

仁義なき戦い 頂上作戦」を思い出す。
繰り返し観た映画なんで、「クアー、またそんなことやる〜?」とボルテージ上がりっ放し。
描き方の湿度が深作監督にとても似ている。
普段は温厚な役をこなす役者がいきなりすごい悪もんに変わるもんな。
北野監督の「アウトレイジ」も全員が悪いやつになっていたが、あっちは乾いていたからまた味わいが違う。

明日公開。
仁義なき戦い」観たあと、しばらくオラオラ調子で歩いていた君たち(って私たちの年代か)、これ観て青春時代に戻ってみないか。

私自身は人を殴ることも罵倒することもできない柔な人間です。
暴力団も許せません。
誤解のないように。

釜山まで行かないけど、済州島の市場です。