「日本は買い」ってありか?

安倍君が調子こいてあちこちで言いたい放題だけど、本日は放射能汚染水等の問題はひとまず置いておいて、経済問題について「こんなんありか?」と私が疑問に思っていることを簡単に。

安倍君が選挙に勝って以来、日本株は2倍くらいまで上がりました。
悪いことではないけど、給料も上がってないのになんで株が上がって喜んでだよ、と文句のひとつも言いたくなるでしょう。
私の場合はフリーランスなんで、いつも「あ〜ん」と心で泣いているだけで実感がないんですけどね。

あれだけジャブジャブの金融緩和をするっていったんだから、それで企業業績が上がるかどうかは別にして、ここは日本株買っとこうと思った投資家は掃いて捨てるほどいます。株の上り下がりには実体経済とは関係ないことがままあり、「ここは上げる」と思えば買うし、「ここは下げる」と思えば売るという恐ろしいほど単純な理由で動いたりします。
これは実際に証券会社の人間と話をしてのことですが、「うちの見込みでは00000円まで上がるとなっていますが、私は怪しいと思っています」なんてことはしょっちゅうあります。
アナリストたちの年内の株価予想を並べている新聞記事があったりしますが、皆さんまちまちで当てにならないことはその記事自体が証明しております。

さて、安倍君は6月ロンドンで講演を行い日本株への投資を呼びかけました。
今月17日には投資家向け講演会で「今の日本は買いです」なんてことも言っちゃってんだよね。
これをどう判断するかは人によるかもしれないけど、投資家向けの講演会で「日本は買い」と言えば、「日本株は買い」と言ったと解釈するのが普通でしょ。
他にもなんやかんや、あれやる、こうすると胸張って明らかに投資を勧めています。
あまり報道されないんだけど。

首相以外でも首相側近がアメリカのヘッジファンドの幹部と会って日本株投資を要請したり、甘利大臣が証券会社の投資セミナーで講演をしています。

あのですね、根拠の乏しい断定的な言葉を使って証券会社の営業が投資を勧めるっていうのは金融商品取引法で禁止されております。
私は現在の政府がやっていることは正にこの法律に違反してると思うんでございます。

海外でもそのような行為は厳しく取り締まられますから、大統領、首相、閣僚が「我が国の株は必ず上がります」なんてこと言うはずがありません。
聞いたことがない。

かつてクリントン大統領が「終わりなき繁栄」を経験した時でも「株は下がらない」なんてことは言わなかったと思うんだけど。

10年前、竹中金融担当大臣が閣僚懇談会で閣僚懇談会で上場投資信託を買うように要請し、その後記者からの質問にも「絶対儲かるから必ず買う」とやってしまいました。
金融商品で「絶対に儲かる」ものなんてあるわけがない。
元本だって保証されません。

それをこともあろうか、金融トップがやっちゃったんだから国会で問題となりました。
最初は逃げ切ろうとしたんだけど、そんな阿呆なことが許されるわけがなく謝罪することとなり、福田官房長官から「公の場での発言としては多少問題があった」と指摘され(多少どころじゃないんだけどさ)、金融庁のウェブサイトから該当発言を削除することになったって覚えてない?
私ははっきり覚えてんだけどさ。

安倍君はそれに近いことを既にあちこちで発言しまくっているので、もはや謝罪も撤回もあり得ません。

小渕首相がカブを両手で持ち上げて「株よ上がれ」と叫んだ時は阿呆か、とは思ったけど、問題になるような発言ではなかったね。どことなく微笑ましかったですよ。

この一連の「日本買い」発言が追求されることがないのが不思議でなりません。
どうしてでしょうか。

日経ビジネスでは安倍発言を持ち上げまくっていますが、本日の日経電子版では経済ジャーナリスト西野武彦氏が安倍発言の危うさを指摘しています。
私が感じていたこととほとんど重なっていましたので、かなり参考にさせてもらいました。

絶対にどなたかがちゃんと見ていると思うよ。
アンコールワット遺跡。