初めての110番

本日の「ごちそうさん」。
今日の番組あたりを収録していた頃、杏さんから昆布だしセットを誕生日プレゼントにいただきました。ふふ。

本題です。
おかしなことって続くもんで、初めて見たこと、初めてしちゃったことが重なった不思議な昨日。

昨日はとにかく急いでいるってんで、ハゲ話で逃げたんだけど、意外に受けました。
シェアとかしていただくようなものではないんだけど、なんとなく複雑なハゲ心がわかっていただけたかしら。
そんなわけで、急いで駅に向かい、9時前の満員電車に乗り込みました。
そしたら「走らないで次の電車をご利用ください」ってしつこいくらい放送してんのに、無理矢理乗り込もうとする30代の男が閉まろうとするドアに鞄を持った手だけを電車に突っ込んだ。
そういうことやんなって言ってんじゃん。
危ないよ。
ドアは何かを挟んだということを感知して行ったん開く。
ほっとした男は乗り込むんだが、そのときボケーッと油断してたに違いない。
ドアが全開まで開こうとした時に鞄をドアに預けるようないい加減な体勢をとっていた。
すると鞄はドアと一緒にドアの引き込み口に吸い込まれて行ってしまったよ。
鞄の影も形もない。
男はただ呆然と突っ立ったまんま。
あら、どうなるのかしら。
開いたドアは普通は閉まる。
でも、閉まらない。
おかしなものが引っかかってるからだよ。
お前だよ。
お前。
どうするお前。
彼奴には何もできない。
駅員がたくさんやって来てなんとか吸い込まれた鞄を引き出そうとするんだけど、そんなに大きく開いていたら逆に危険だから簡単にはいかないんだよーん。
と、余裕かましてる場合じゃない。
急いでるからチャキチャキ朝早くからやることやって出て来たのにー。
ドアが閉まらないと電車は出ない。
出ない電車はホームに佇んだまま。
その間に次々と乗客はやってくる。
ただでさえ混んでる電車は身動きが取れない。
満員電車に乗るような機会はほとんどないんで少し懐かしいかも、と思えるのは2分が限界かな。
それがあーた、20分ですぜ。
30代の兄さんに同情しそうになったけど、同情の限界は超えている。
日本人ってのはこういうときおとなしい。
みんな表情は明らかに変化しており、「何やってんだこのバカ」という心の声がそこいら中で飛び交っているんだけど、一人として「君ねえ」と説諭しようとはしない。
時計を見たり、ため息ついたり。
駅員さん達の懸命の鞄引き出し作戦は20分で終了し、ようやくドアは閉まったんだけど、その30代の兄さんは鞄を持って電車の外に。そりゃいられないわなあ。
どうしてんだろうとホームを見れば鞄をぶら下げて、じっと俯いたまま。
今日は一日俯いてなさい。
二度と駆け込み乗車はしないようにね。
おそらく君は数万人の人から恨まれてるから。

私はどこに行くにも充分な時間の余裕を持って出るんで、なんとか間に合いました。
打ち合わせが二つあって、3時くらいにはすでに帰宅の途に。
駅から自宅まではバスに乗ります。

バス来たよ。
とそこへスイーッと乗用車が入って来て停留所に駐車しちゃった。
ダメダメ、すぐに移動しなさい。
乗り場が決まってるんだからそこに停めると誰も乗れなくなるんだよ。
バスが一度クラクションを。
少しだけ前に動いた。
全然ダメ。
ここに停めるなっちゅーてんねん。
ラクション。
動かない。
ラクション。
動かない。
わかんねー奴だな。
一言注意しに行こうかな、とまたバカなことを考え始めたところで、車から「あらまー、また、その筋の方?」って男が降りて来て、バスの運転手に大声で恫喝し始めた。
一言文句言っていなくなる、と思ったんだけど、よくそんな大声で怒鳴り続けますなあ、ってくらい状況は収まらない。
バス停には朝の悪夢再び。
乗客の列が延々のびてしまっている。

別のバスの運転手さんがやって来たけどどうにもならん。
男は手は出さないが、その言いがかりの付け方はだたもんじゃない。
若くて酔っぱらってりゃまた人民を味方につけて、と一歩踏み出したかもしれないんだけど、人民は全くこういう場合あてにならないことは数十年前に身をもって知っている私である。
それに男は背は高くないけどサングラスにごっつい体格。
病み上がりだし、声も張り合えるほど出せないんどっせ。
こういう時は女性の方が効き目があるんじゃないかな、と逃げてはいけない。

えー、私は何度も職質を受けるようなタイプの人間で「名前は」「あんたの名前は」と泉谷しげるの「黒いカバン」のようなやり取りを繰り返して来ているんで、あんまり好みじゃないし、そもそも私自身が案配悪くて救急車を呼ぶべき時に(過去3度そういうことがありました)さえ呼べないほど気が小さいんで、119番にも110番にも電話をかけたことがない。

しかし、これではバスにはしばらく乗車できそうにない。
全く動きがなく、男の罵声だけが響いているバス停って嫌なもんですぜ。
仕方ないから携帯から110番しました。
生まれて初めての110番。
状況を説明して、男の車のナンバーを知らせて、名乗らされました。
さすがにこっちから「あなたの名前は」とは聞かなかったな。
「警官が今向かっていますから、来たら自分が通報しましたって言ってもらえますか」
「はい。わかりました」
ということなんだけど、走って来た警官は男といきなり話を始めたんで、「私が通報いたしました」としゃしゃり出る雰囲気ではない。それこの男に「名前は」と脅されるのも嫌だしな。
男は警官が来ると、いきなり態度を変えて「ああなんですよ。こうなんですよ」とねっちりねっちり自分の行為を正当化している。そこへ私が「ぜーんぜん違います。この人が悪いんです」って出て行くのがいいのかしら。
男の車を別のバスの運転手さんが移動させて、待っていたバスは停留所に入り、客を乗せ始めた。
う〜ん、と悩みながら私も乗っちゃったよ。
なんか後味悪いけど、許してね。
改めて携帯を見てみると、見たことのないマークが。
GPSで私の居場所が確認されたという印だった。
なんだ、電話した時から場所わかってたんじゃん。
「何通りですか」「吉野家のあたりですか」とか聞かなくてもわかってたんじゃないの?
大倉の電話番号と居場所は現在警察に確認されております。
そんなことがなくてもわかってるのかなあ。

初めての110番。全然ドキドキしなかったな。大人になったのかしらと首を傾げる56歳男性。

泉谷しげるのチョー若い頃。
短いから見てみてよ。