アメリカも大丈夫か

本日の「ごちそうさん」。
気分悪いわい。勝手に殺すな。

本題。
日本はもう何がなんだかさっぱりわかりません、と考えることを止めたくなるような状況ではありますが、毎日そればかり考えていると世界最悪の国のような気がしてくるんで、少しアメリカのおかしなことについて。

ドローン(無人攻撃機)での領土侵犯、一般市民殺傷、国際法違反のグアンタナモ基地、オバマケアの信じられないお粗末さ、毎週のように報道される銃乱射事件、まだまだあれもこれも出てくるんだけど、本日は堤未果さんがずっと追求している貧困問題について、ホンマでっかという記事がありましたので、そのことにつきまして。

もう一週間前くらいになりますか、アメリカのいくつかの新聞でオハイオ州カントンのウォルマートで店側が寄付箱を設置したというもの。
「おお、店全体で生活に困っている人を助けよう」という前向きな運動か、なかなかできんことだと勘違いしそうになってしまった。
違いました。
「暮らしに困っている従業員のために寄付をしよう」という趣旨のものでありました。
ギョエ、そんなもん店の中に置いてんの、「私の会社の人間は給料では暮らせませんから、どうかお恵みを」ってそんなこと書くか。
ウォルマートって給料が安いことで有名で、ちゃんと働いていてもフードスタンプがないと暮らせない、という話は聞いたことがあるけど、そんなに?

ちなみにフードスタンプというのは「補助的栄養支援プログラム」という正式名称を持っている貧困層への援助対策として作られたもので1964年から制度化されております。日本の生活保護に似てますね。
2000年代から所得格差が進行して、受給者がドーンと増えました。
2004年は約2200万人だったのが現在では5000万人を超えているのではないかとも言われております。
不正受給も問題になっていますが、それは今日は置いておきましょう。

ウォルマートの寄付箱は従業員エリアに限られておいてあるそうで、さすがにお客様に寄付をお願いしているものではないそうです。当然のことながら従業員からは「そんなもん置くより賃金上げろ」という素直な声がビシビシあがっております。
ウォルマートは「『みんなで助け合おう』ということですよー」と逃げを打っているけど、各紙がこぞって取り上げているところを見ると、やっぱり普通じゃないらしい。
そりゃ普通じゃないだろう。
働いていても食うのに困っていて、フードスタンプも受け取っているのにも関わらず「極端に困窮している仲間」がいるってことがおかしくない?

リーマンショック後、世界経済はどん底に落ちましたが、現在アメリカの株価は史上最高値をガンガン更新しています。
お給料も上がったでしょう、って思いがちだけど、株価とお給料には何の関係もないんですね。
イギリスのフィナンシャル・タイムスによれば「この3年間で上位1%の人の所得は31%増えたが、残りの人たちは0.4%しか増えていない」、残り99%の所得は平均値なんで「ほとんど回復し始めてもいない状況」という表現が正しいらしい。

民主党は格差問題の解決に向けて議論を活発化させている(ように見える)が、ここに来てテキサス州出身、ティー・パーティの強い支持を受けている共和党上院議員テッド・クルーズでさえ、格差問題について街頭演説で言及している。
最近非常に評判が悪いので、少し変わったよ、のポーズだったのかもしれないけど。

いろいろ対策は考えられているようですが、こうやるとこうなるという処方箋を持った人はどなたもいないように思われます。
財政は逼迫しているし、共和党は基本的には「自分の始末は自分でつけろ」と主張を曲げません。

世界中で同じようなことが起きているので、このことでアメリカだけがダメだと言うつもりはありませんが、FTでさえ「米国、もう見逃せなくなった格差問題」と銘打って長い記事書いてますよ。
どうしますかね。

日本も合わせ鏡のようなことになってるよなあ。

カーストにも入っていないアウトカーストの人々。
ガンジス川での礼拝のあとの恵みを待っている。
バナーラス、インド。