キューティー&ボクサー(CUTIE AND THE BOXER)

本日の「ごちそうさん」。
朝から号泣。

本題。
今、渋谷パルコパート1で行われている篠原有司男・篠原乃り子二人展「愛の雄叫び東京篇(Love is a Roarrrr! in Tokyo)」
について映画公開前日まで待って紹介しようと思っていたら、私のような者が「これ、必見」と書くまでもなく、あらゆるマスコミ媒体で大騒ぎになってしまって完全に乗り遅れたとしょんぼりしちゃってる。

私も知り合いには口頭で「凄いよ。岡本太郎よりも凄い」と言いふらしていたんだけど、それを信じてくれる人ももう少ないだろうな。
自分のことのように「大変大変」と自慢し始めたのは私がかなり先んじてたと思うんだけど、遅いんだよな。

ギュウちゃんこと篠原有司男は多分皆さん知っている、というよりも見たことがあるはず。
数年前、福山ちゃんがCMでギュウちゃんと一緒にボクシング・ペインティングをやってたのは見たことあるんじゃないかなあ。
そうでなきゃ、大昔の日本のネオダダイズム運動を知っている爺さん、婆さんが涙を流して喜ぶ芸術家と言っておこう。

私は明日公開される「キューティー&ボクサー」を観て泣いた。
この二人の芸術家夫婦と息子の生活をしつこく追いかけた映画は衝撃と優しさと嫌悪と愛で私をぶち壊した。
試写を観てすぐにどうにかしなきゃ、と動き回ったんだけど、100分の1くらいは役に立ったかしら。
1000分の1くらいか。

監督は最初はなにを撮っていいのかわからなかったらしく。
「どうしていいのかわかんないから、俺が朝乾布摩擦してるところからまわしてんだよ」
「歯磨きしてるとことかさ」
とギュウちゃんはプレス発表のときに話をしていた。
81歳のギュウちゃんの顔にはしわひとつなく、話す声も体勢もしなやか。
ラソンでもしそうな勢い。

乃り子さんはギュウちゃんを叩きのめす。
ギュウちゃんは叩かれても叩かれたと思ってないみたいだけど。
乃り子さんのキューティーにもしびれる。
この二人の会話が映画の中でも炸裂。
ちゃんと覚えてないんで、ニューズウィークの記事からパクります。

「乃り子の絵は、あの単純明快なところが受けているわけよ。で、ボクのはぐじゃぐじゃでわかんないって言われることがあるよね」
「単純明快っていう表現は私の絵には合わない」
「あっ、単純じゃなくて複雑明快か。それもおかしいな。線は単純だけど内容は濃い、か」
「ぜんぜん線も単純じゃないし、みんなきれいだって評価してくれるじゃない」
「いちいち褒めなきゃなんねえからな、夫婦なのに」
面白うて、愛しくて涙が出てくる。
「映画で一本まとめて振り返ってみると、愛情が流れてたんだと感じるね」
「映画見て初めて愛情に気づいたんだって」
だってさ。

映画は明日公開。
二人の二人展は1月13日まで。
どちらも行くように。

猪瀬君のニュースには泣けなかった。

この二人。ガラケーで撮ったんでボケました。